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始まり

初投稿作品です。宜しくお願い致します。

桜の蕾も膨らみ暖かい春の日差しに僕はこれからの新生活に胸を膨らましている。

僕は大学を無事に卒業し今年の4月より大手広告代理店に勤めることとなった。

今日は初の出勤日ーーこの日のためにスーツを新調し気合十分だ。朝5時に最寄りの駅のホームに行った。幸運なことに最寄り駅は始発駅であり、確実に座ることができる。実にありがたいことだ。

僕の乗る車両には僕の他には2、3人しかいない。

僕は端っこの席に座ると今朝は早起きしたせいか、睡魔が襲ってきて次の駅に着く前には寝てしまった……


しばらくして目を覚ますと目の前は人で溢れかえっていた……

都心部に近づくと朝の通勤ラッシュにはこんなにも混むのかぁ……


都心部…?


と、いうことは…!


もうすぐ着く?!


慌てて車内の電光掲示板を見ると……


目的駅の一つ前!?

ラッキー!

初日から僕はついてる!

通勤初日の奇跡の目覚めに我ながら見事であったと感心しているうちに目的の駅に到着。そこから徒歩約10分で会社についた。

車内へ入ると可愛らしい受付嬢が朝から弾けんばかりの笑顔を見せ挨拶をしてくる。僕はそれに対し初めての出社に緊張していることを悟されないようよう程よい笑顔をつくり挨拶を返した。

事前にもらっていた会社専用の社員証を自動改札機に照らし入社式が行われる会場へ行く。

エスカレーターに乗り2階へ上がると目の前がその会場になっていた。

会場にはすでに100人程の新入社員が集まっていて僕は自分の社員番号を確認しそれに合った指定の席へと着席した。

しばらくすると、司会の人が入社式の開始を宣言した。各部署の部長の言葉やら社長の言葉やらが新入社員へ向け語られるがどれも似たような内容であった。

彼らの言葉を要約すると、入社おめでとう。我が社で頑張れ。というような内容だった。

僕はこの挨拶を聞くのには退屈であったが、部長や社長が皆、禿げ上がっていたのには笑えた。


入社式が終わり、新入社員はそれぞれ配属された部署へ行く。僕はこのビルの10階にある仕事場に行った。

仕事場へ入ると

「おっ、来たねぇ〜新人!」

まず僕に声をかけて来たのは長身で短髪が似合う僕の直属の上司にあたる後藤係長だ。

「早速、みんなの前でビシッと挨拶してくれよ!」

「は……はいっ!えぇ……今日からこの部署で働くことになった熊谷(くまがい)みなとです。皆さん、宜しくお願い致します!」

僕が挨拶をした瞬間、その場の人達が拍手で迎えてくれた。

「みなとかぁ〜。宜しくな!一緒に仕事頑張って行こうぜ!」

「はいっ!宜しくお願いします」

僕と後藤係長はお互いの挨拶を交わした後、後藤係長は一緒にこの部署で共に働く先輩方との挨拶の間に入ってくれて僕に気遣ってくれた。その後、後藤係長から今後の仕事についての大まかな説明を受けた。

「最初は慣れないだろうけど、分からないことがあったら、俺にいえよな。教えてやるから」

「ありがとうございます!」

仕事内容は主にパソコンでの事務作業や会社の倉庫管理であった。コピー用紙の運搬やら指定された資料整理などをしていると


午後5時ーーあっという間に仕事終了の時間だ。

今日は何だか初日だけあって色々と気疲れしたなぁ。でも、後藤係長が良い人で良かった〜。

そう思いながら僕は帰りの支度をすると後藤係長が近づいてきて

「今晩、新人社員の入社祝いをするから、みなとも来いよ!盛大に祝ってやるぜ!」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

「よし、決まりだな!んじゃ、早速行こうぜ!」

「はいっ!」

僕は急いで帰りの身支度を整え、後藤係長を含めた同じ部署の方々みんなで近くの居酒屋へと向かった。


午後6時ーー僕達一行は目的の居酒屋へと着いた。席に着くなり後藤係長は全員分のビールを注文しあっという間にビールが来た。皆んなにビールが行き渡ったのを確認するやいなや後藤係長が

「皆さん、今日はみなとの入社祝いです!我が部署にも新しい風が吹きました。新鮮な気持ちで今年度も仕事に励んでいきましょう!それでは……。

かんぱーーい!!」


「かんぱーーーーい!!!」


後藤係長の乾杯の音頭にあわせ一斉に全員のジョッキが合わさる。

僕は酒には少し弱く程々にしようと心がけていたが部長から

「今日は熊谷君の入社祝いだ。思う存分羽目を外して飲みたまえ」

と肩を叩かれながら言われ、これが俗に言うアルハラなのか?と思いつつも初日から部長に対して場の空気が冷めるような発言はしたくないので薦められるがまま飲んだ。

しばらく盛り上がっていると、後藤係長から

「みなと、お前、彼女とかいんのか?」

と言いながらビールを口に含む。

「あっ。いえ。彼女はいないんですけど……妻がいます。」

そして吐き出す。

「お前、結婚してるのか!!?」

「はい……」

「いつからだ?」

「先月に……」

「うっわ!マジかよ!最近じゃん!」

「はい」

「俺なんて32で独り身だぜ?!結婚とか考えらんねーよ。子供の予定とかはまだなんだろ?」

と言いながら水を口に含む。

「今、妻のお腹の中で眠ってます。」

そして吐き出す。

「マジかよ……度肝をぬかされたよ……。

みんな!みなとの結婚祝いとみなとの奥さんの懐妊祝いだ!盛大にいくぞぉー!!」

こうして、僕の衝撃の事実を知った皆んなは盛大に祝ってくれた。

そうして後藤係長から注がれた4杯目のビールを飲んだ瞬間までは覚えている。


がしかし、その先の記憶がない……。



時間不明ーー僕は気付くと幼女と一緒に線路の上で寝ていた……。

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