表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女は世界を見る  作者: 川咲弐号
第一章 魔女の他愛ない願い
1/37

1  魔女はいる

 昔々あるところに、お伽話の登場人物がいたように。

 天を見上げる狼のような形をした、アトラヘイム大陸。

 ここにもまた、お伽話に出てくるような魔女がいた。


 魔女自体は、さして珍しくはない。一国に数人程度はいる者達だ。だがその中でもカリスマ的存在の、類い稀な才能を持つ高名な魔女がいた。

 その魔女の存在は、狼の鼻先にあたるアトラヘイム北東端にある小国・ラグシオン王国の更に外れで、都市伝説のように語り継がれていた。

 それによると、望んだ者にどんな知識をも与えてくれる、偉大な魔女という話だ。

 その力は人智を超え、世界の全てを知り尽くし教え導く賢者。彼女の言葉は、もはや『啓示』として信じられるほどだった。

 しかし、魔女に実際に会ったという者は極めて少ない。

 辺境の、それも地元の者ですら立ち入ろうとしない深い深い森の中に住むので、容易には会えないのだ。それ故に月日の流れの中で、そんな魔女が本当に実在するのか、ただの噂なのではないかとされ始めた。

 今や、所詮は『都市伝説』なのだと、多くの者が戯言のように“世界の全てを見る魔女”の存在を語る。

 大人が子どもに「隠れて悪さしても、魔女に全部見られているんだからね」と、言い聞かせるのに使うことも多い。「早く寝ないとお化けが来るよ」のお化けと同じように、大人は魔女を『いもしない』と考えている。あるいは、“世界の全てを見る魔女”は既に亡くなっている、過去のものと思っている。


 だが、確かに魔女は存在する。

 森の奥深く、大きな泉の側にある屋敷で、今日も彼女は――



* * * * *

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ