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英雄カメラマンのホロサイト  作者: 霜月美由梨
3章:思い偲ぶより思い出して笑って
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3-6

 暗視ゴーグルの感度は良好。

 ふっとため息をついて目を閉じて身をひそめる。気配は完璧に殺す。

 現役にも見つからない自信がある。

 殺気すら感じさせない。そう、無感情。

 耳元に感じるかすかな音を聞きもらさないように意識を集中。自らの呼吸すらうるさいぐらいだ。

 静かに時を待つ。

 掌にはフラッシュバンとスモークグレネード。目には遮光性のあるゴーグル。

 警戒する人が目の前を通っていく。

 そのまま歩いていくのをみて人数を確認。七名。しばらく待とう。

 足音が遠ざかっていく。

 やがて、遅れてテールがやってきて過ぎていく。

 そして十分な時間がたったのを見て、勇介はまずフラッシュバンのレバーを引いて離して少し経ってから投げつける。

 そして間髪入れずにスモークグレネードを投げつける。

 轟音と共に強い光が洞窟を照らす。

 うまく先頭の目の前に落ちたらしい。慌てている。

 展開する暇もなくスモークが張られ、すぐにサーマルゴーグルをつけて銃を抜いて撃っていく。

 きちんとサプレッサーをつけている。

 煙の中、くっきりと人が映っている。

 人はこちらに背中を向けている。とりあえず、一人で逃げ込んだ人間を狙う。

 そして、勇介はもう一度フラッシュバンを投げつけてスモークも張って、二人組で隠れている後ろにいる人間に近づく。

 すかさず背後から首に腕を巻き付けて、言葉を発する暇もなく喉をかき切る。

 そして、異変に気付いた人間が何かをおこすまえにもう片手で持った銃で殺害。

 向かい側にいる人間もすぐに打ち抜いて殺す。

 それから斜めから前に展開する人を狙い一人射殺。

 音もなく前に移動。

 警戒しているらしい人の目の前に銃を突きつけて引き金を引く。

 おそらくなぜ、だれに殺されたかわからないだろう。

 そして、後ろを確認して戻ろうと歩く。

 水を踏む音が後ろで聞こえた。

 容赦なくグレネードを後ろに投げ込んで走り出し、穴に身をひそめる。

「……」

 ここでミヤビの所まで敵を連れてきては本末転倒。

 一応何か仕掛けてあるかもしれないと上半身の服を脱いでズボンも水にぬらして叩いておく。

 上半身の服は脱ぎっぱなしで目につきにくいところに置いておいて、ズボンは身に着ける。

 適当な狭い場所に押し込んでおけば軍用犬の攪乱にもなる。

 後ろに続く人がいないことを確認して、ポイントマンが持っていたらしいシールドを背負ってミヤビの所まで走る。

「ミヤビさん」

 穴に向かって呼びかけると、ぴょことミヤビが顔をのぞかせて出てきた。

「行きましょう」

『ユウ』

「なんですか?」

『入ったのはあれだけです。グレネードなどの音がしたために洞窟が落とされたのかもしれないと待機しています。今のうちに抜けて』

「了解」

 ミヤビの手を引いてシールドをもって走っていく。

「どうしたの?」

「突入をかけた国軍が爆音を聞いて待機しているらしい。今のうちに抜けましょう」

 そういって走って言って勇介は後ろを見てうなずく。

「大丈夫ですか?」

「平気よ」

 そのまま走って迷わずに支流を曲がっていく。

「よくわかるわね」

「一応ルートは覚えました。何か間違っていれば五島さんから訂正が入るでしょう」

『ええ。ちゃんとモニターしてありますよ』

 五島の穏やかな声に勇介はふっとため息をついて、見えてきた光に、目に着けていたゴーグルをはずす。

「五島さん、表には?」

『大丈夫。行けます』

「了解。そのまま突っ込みます」

 勇介はそういってミヤビにうなずきかけて光に飛び込んだ。

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