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大きな一歩

床にへたり込み、うなだれる俺に、誰かが近づいていた

コツっ、コツっ、コツっ・・・・

見上げると、そこには知らない少年が立っていた。黒いマントに身を包んだ、怪しい少年

「君には、ナナを振り向かせるほどの力はない。試してみようか。1分間でナナが君に振り向かなかったら、僕の勝ちでいいよね?」

「お前に、そんな勝負を突きつけられる筋合いはない・・・・・」

「おやおや、まだ強気?なら、僕だって言わせてもらうよ、君に注意をされる筋合いもないと。そして、断ることは、できないと」

俺は何も言い返せなかった。俺は確かに無力だ。改めて痛感させられる。

なら、無力な俺を、変えるしかない。今までやらなかったことに、足を踏み入れるしかない。俺は、人から目をそらし、感情を表に出すのをこらえ、そして、何も感じないように生きてきた。でもそれを変えなければ、ナナは、大事な人は、取り戻せないし、守れない

俺は、行動に出た。立ち上がり、声を出した

「奈菜・・・・」

そういって、俺は奈菜を抱きしめた。そして俺はこう言った

「俺は、お前が奈菜だって信じてる。この世界で奈菜にあった時から、そう感じていた。俺は感情を表に出さない奴だったから、奈菜には嫌われるような態度をとったかもしれない。もちろん、最初は本当に嫌だったんだ。でも、気づいてなかっただけなんだ。奈菜のこと、好きだって・・・・・失ってから気づいたんだ。こんなにも大事だったんだって・・・・だから、今度は失いたくない。今度だけは絶対に、命を懸けてでも、君を手放さない!」

俺はさらに、奈菜を強く抱きしめた。

こんなにも、言葉を発したのは、発表会以来かもしれない。そしてこんなにも、感情を表に出したのも、いつ以来だっただろうか

もう伝えることは伝えた。思い出してくれなくても、もしかしたら違う人だったとしても、俺に悔いは残っていなかった

俺は一気に、成長できた気がするから・・・・

すると、奈菜も俺を抱きしめた。驚きの行動に、俺は言葉も出なかった

「最初から、分かっていたよ・・・・やっぱり慎次君だ・・・・こんなに話してくれたことって、なかったよね。うれしい、私うれしいんだ。また慎次君に会えたから・・・・」

「奈菜・・・・・」

俺たちは、見つめ合った。そして、笑いあった

俺は、幸せってものが、わかった気がする、そして、つかめた気がする・・・・・

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