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第二章 第二話 魔王の嫌々奉仕活動

「ほら、へなちょこ。何をそんなにたらたら歩いてるの?馬鹿だからって体力もないのかしら?さっさと始めるわよ」

箒を手に持って、俺に理不尽な罵倒をする城ヶ崎朱鳥はとても奉仕にやる気を出していた。

「・・・・んで、あんたみたいなエゴイ・・じゃなくてエリートが、何故に放課後に奉仕活動なんかするんだ?いつもみたいに家に帰って新しい術式でも練習したらいいじゃねえか」

城ヶ崎朱鳥はため息をつくと言った。

「こんな場所で機密用語を口にするあなたの残念な頭には呆れちゃうわ」

俺って、何を言ってもこいつに馬鹿にされそうなんですけど・・・。

「その残念な頭を持ったあなたに同情して、特別に幼稚園生にも分かるように教えてあげるわ」

・・・・何も言ってないのに馬鹿にされました。

「私の家、城ヶ崎家は、あなたも知っての通りに魔法使いの家系よ」

いやー、困った奴だ。人には機密用語がどうたらこうたら言っていたくせに、自分は何事もないように言うからね。

・・・・ん?何を驚いているんだい?・・・・・・あぁ、魔法使いね。知らなかったの?魔法使い?

はっはー、時代遅れめ。いつの時代も魔法使いは存在していたさ。そう言う俺も魔法使いだったからな。

さてと、話を戻そう。

「魔法使いには定期的な査定があることを忘れたの?あなたの残念な頭じゃ記憶出来ないのかしら?」

いちいち癪にさわる奴だ。

覚えているさ。あの忌々しい事件も。俺の人生が狂った瞬間もな。

「覚えている」

「それは良かったわ。最初から説明しなくてはいけないのかと思ったわ」


◆ ◆ ◆


城ヶ崎家、夢宮家、神宮寺家は日本を代表する魔法使いの血筋として、裏の世界に名を馳せていた。要人警護や災害救援、戦争支援などの重要な仕事も魔法使いが秘密に携わる。

魔法使いの需要は、今や日が当たらない所では周知のものとなっていた。

そりゃあ、そうだろう。魔法使い一人介入すると、戦争等で戦局が変わってしまうほどの力だ。

半端ないぜ。

そういう理由から、国から魔法使いに課せられた制約が一つだけあった。それこそが、一般社会に対する奉仕活動だった。査定は、奉仕活動をどれだけやったかという度合いを審議される。しかし、奉仕活動をどれだけやったかなど計るのは面倒くさい。そこで式神をつける。

式神とは、魔法使いが使う術式の一つで、術式が発動した瞬間から意思を持つ。しかし、行動の優先事項は主からの命令である。

魔法使いにつけられた式神は、姿を消し、音もなく対象を監察する。

査定は一年に一度行われ、査定に引っ掛かった者は厳罰を受ける。俺のように・・・いや、俺の場合は特殊か。

さて、ここで問題なのが、査定を行う人間だ。何故なら、査定に引っ掛かった者が厳罰に対して反発する場合もあるからだ。俺のように。

そういう奴を抑えられなきゃ、意味がない。そうだろう?

まあ、そこで抜擢されたのが、俺の祖母である神谷静香だった。

神谷静香について俺が語ろうとしたら、愚痴しか出てこないのでやめとく。

あと、俺が厳罰を受けた時の話をしようとしたら、愚痴しか出てこないのでやめとく。

それでは、厳罰の具体的な例を挙げよう。

まあ、一番、オーソドックスなのが魔力を封印される事だな。これの良いところ(厳罰を受ける側からみて)は、期間制なので耐えるだけで大丈夫なところだ。

他には、祖母のお手伝いさんとかかなぁ。

・・・ん?思ったより楽だって?・・・・・はっはーん。お前、こちらの世界の事を知らんから、そんなことが言えるんだ。

魔法使いの世界で、魔力を封印された者ほど地位が落ちる事はない(俺がへなちょこと言われる所以だ)。あと、さっき言ってなかったが、魔力の封印期間は祖母の気分だ。祖母の気分が良いときに、和菓子か何かを持って頼み込んだら解放してくれる可能性が百分の一くらいあるかもしれないな。うん、諦めろ。俺はとっくの昔に諦めた。

まあ、こういう訳で、目の前の性格以外完璧超人も査定のために奉仕活動をするんだと。城ヶ崎朱鳥の話を俺なりにまとめると、こうなった。

ああ、疲れた。

次で、姫が出てきます。

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