夢の中 七月二十一日 深夜
突然視界が黒く遮られた。目の周りの違和感からどうやら目隠しをされているらしい。また、縄のような何かで拘束されて身動きが取れない。聞こえる金属のこすれる音と僕を呼ぶ声。
「辰見!辰見!!」
担任の先生の声だ。
「先生、先生!!」
ここから逃げてと言いたかったが僕の口は先生を呼ぶことしかできなかった。
「ようやく目覚めたか。じゃあ始めるか。」
金属がこすれる音が一際大きく聞こえた後、ブンッという風を切る音が聞こえ僕の背中に激痛が走った。
先生の叫び声僕の悲鳴骨の折れる音風を切る音深夜の静寂金属のこすれる音
今のようにどんなに痛くてもどんなに苦しくても気絶できない。呼吸すらままならない。永遠の痛みが僕を襲う。
イタイ
イタイイタイ
イタイイタイイタイイタイ
イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ
イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ
「さて、そろそろ終わりにするか」
持ち上げられる僕の体。
「待て!何をするつもりだ!?」
「こいつをここから落とす」
「やめろ!お前は自分が何をしようとしているかわかっているのか!?」
「わかってやってるし俺は正気だ」
「俺はどうなってもいい!!だから…だから辰見にはこれ以上手を出すな!!!!」
「やなこった」
ふわっとした浮遊感。その直後地球の重力に導かれ地面に近づいていく僕の体。
突如、足が引っ張られるような感覚がして落下が止まった。宙吊りの状態。頭に血が上る。
「おっと、運が悪いなぁ。辰見君は宙ぶらりんになって助かってしまった。まぁ、あの玩具でまた遊べるんだったらいいか」
「てめぇ…」
「でも、これで辰見君にこれ以上手を出せないから先生、好きにさせてもらいますよ」
ガツンと言う打撃音が続く。続く。続く。
先生は悲鳴を上げない。
ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。ガツン。