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それが僕らの異世界譚  作者: 尾柄佑亮
第1章~それが僕らの始まり~
4/6

第2話 召喚

前よりだいぶ長くなってます。


Side 健一



「あれ、2人もいる?……まあいいわ。アンタ達、今は説明している暇はないわ。すぐにあたしと来なさい!」


暗闇の中1人の女性の声が辺りに響き渡った。


「……おいあんた、急に現れてなんだってんだよ。まずここは何処でてめぇは誰だってんだよ」


僕ら2人共、急な発言にしばらく思考が止まっていたが、先に復活した真司がかなりイライラしながら悪態ついた。


「だから説明している暇はないのよ! 早くしないともうすぐ奴らがここへ来るわ。そしたらあんた達の人生終わるわよ!」


「そう言われてもこっちにはあんたを信じられるわけが」


「真司、とりあえずこの人について行ってみよう。この人から敵意は感じない。それにどうせ何処へ行けばいいのかわからないんだし」


「……まあ健一がそこまで言うなら信じてやるよ」


「なんか腑に落ちないけど……まぁいいわ。それじゃ悠長にしてる暇なんてないから走るわよ」


その言葉と共に走り出した彼女に僕たちはついて行った。


ただ……


「あんた達遅いのよ! もっと本気で走んなさい!」


「いやっ、そんなことっ、言われてもっ」


彼女は女の人とは、いや人間とは思えないスピードで走っていった。



その後僕らは一言も話さず、一心不乱に走り続けた。


その足音の響き方、足元の感触から考えるに、ここは洞窟で合っているようだ。


「光が見えてきた。あんた達、もうすぐ外に出るわよ!」


そんな彼女の声を聞き、返事をする余裕は無かったが、あと少しだと自分を奮い立たせ、死に物狂いで走った。


そして走って走って走り続けた結果、


「「外だぁぁぁぁぁ!」」


暗闇から光の照らす外の世界へ抜け出した。



♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢



目の前には広大な青い草原と雲1つない青空、といった田舎なら何処ででも見られそうな光景が広がっていた。野鳥の森なんかも空を飛んでいる。


しかしただ1つ、今まで見たことのないものがあった。それは、


「……おい、嘘だろ? なあ健一、なんか俺幻覚が見えるようになっちまったみたいだ。」


「……真司、もしかしてそれってあの空に浮いてる2つの緑色の太陽の事いってる? なら大丈夫、僕にも見えるから……」


空にあるはずのない色の太陽らしき星が、仲良く寄り添うように2つ空に浮いていた。


意味がわからない。


何処かに連れ攫われたと思ってはいた。でもあの女の人が日本語で話しかけてきたことから、そう遠くには行ってないと踏んでいた。


なのにここは何?


……まず日本では無い。というか海外の国ですらないだろう。


地球で見られる景色とはあまりにもかけ離れたものが目の前にあるし。


何処かのスタジオ……とも考えにくい。そう考えるにはここはあまりにも広すぎる。でもそれくらいしか考えられない。


僕らの知らないところで日本の技術力は格段に上がっていたなんて……ありえない。


「……あんた達なに言ってんの? あれは月でしょ? 頭大丈夫?」


「は? なに言って……」


真司が勢いよく女の人の方を向き言い返そうとして……彼の言葉が急に止まった。


何かあったのかと思い僕も彼女の方を見てみるとそこには、燃えるような赤い髪をセミロング程に伸ばし透き通るような青い眼をした、170cm程の身長に少し幼さが残っているも綺麗な顔立ちをした女性がいた。


そういえばさっきまでは洞窟の中で周りが見えていないかったから、彼女の顔を見るのもこれが初めてだ。


ちなみにその彼女は真司の方を見たまま固まっている。いや、真司に見とれてる? まぁ真司かっこいいしなぁ……


「あの、すみません。僕たちは何も説明されないままここまで来たんですけど、そろそろどういうことか説明してもらえますか?」


このままじゃ拉致があかないから僕が話を振ってみた。


「……え? ああ、そうね。じゃあ説明するわ。まずあたしはライカール国王女リアナ=T=アルミダス。それであんた達を、というよりあんた達のどっちかを国を救う救世主、いわゆる勇者としてここへ呼んだの。もう一人の方は……まぁ巻き添え?」


硬直状態から復活した彼女ーーーアルミダスさんーーーは明るい口調でそう言った。



Side 真司



リアナがあんな明るい口調であんなことさらっと言うなんて俺は思ってもいなかった。


あれは相手のことを考えずに自分たちのことばかり考えている証拠だ。


しかもその自分たちの中に‘自分自身’は入っていない。


「……おい、それじゃあなにか? ここは地球じゃないまったく別の世界で、んで俺らはここに自分の意志とは関係なく無理矢理拉致られてきってことか?」


俺はそれに腹が立った。でも自分がこんなよくわからない場所に連れてこられたから、ではない。


むしろこれはこれですごく楽しそうだ。健一にとっても案外ここの方が地球より良いかもしれない。


ただ、リアナがそんな考えでいることに腹が立った。


出会ってまだ一時間も経っていない相手にそんなこと思うのは自分でもどうかと思う。でも思っちまった。


もしかしたら俺は……


「え……そ、そんなつもりじゃない! 確かにここはチキューってとこじゃないわ。でもこうしないとこのままじゃあたしたちの国が大変なことになるの! だから」


「だから俺らを無理矢理さらってきた、ってか?」


だからこそここで俺は怒ろう。


多分リアナにはビビられるだろう。健一もいつもと違う俺に違和感を持つに違いない。


でもここで起こらないとリアナを正せない……俺は覚悟を決めた。


「だからそんなつもりじゃなくて」


「そっちがそんなつもりじゃなくてもこっちにとっちゃそうなんだよ。んじゃお前なら急にどこか知らねぇとこに一方的に連れていかれて『私たちを救ってください』って言われて救おうとすんのかよ。


「そ、それは……」


「しねぇだろ?だったら」


「……真司、流石に言いすぎじゃない?」


リアナが言葉に詰まり泣きそうになったところで健一が突っかかってきた。


「なんだよ健一、お前は腹立たねぇのかよ。

ここは地球じゃねぇんだぞ! 拉致られたんだぞ俺らは!」


「でもアルミダスさんは拉致のつもりなんかじゃないって言ってるよ。


「ならお前は6年前あの子を殺した犯人を許せんのかよ! 健一前に自分で言ったよな?その犯人が『殺すつもりなんてなかった』って言ってたって」


「その話は関係ない。 それに許せるはずがないよ!」


「それと一緒だろ? なにが違うんだよ。人の命がかかっているかいないかか? なら同じだ。なぜなら俺たちはこっちの世界に来たってことはあっちでは消えたってことだろ? もしかしたらもともと居なかった事になってるかもしんねぇ。なら1つ人生を潰されたってことになんだろ。違うのか?」


「それは違う! だって僕たちは現にここに生きてる!」


思ったより話が長引いてる。健一の奴がここまで言ってくるなんて思ってなかった。……イライラが湧き上がってくる。


「でもこれからどうなるかわかんねぇんだぞ! それにこんなことして、もし俺たちじゃなくて変な奴が召喚されてたらどうする! リアナが酷い目に遭うかも知れねぇんだぞ!そんなの嫌に決まってんだろ! 許せるわけが……」


「……え?」


……やばいやっちまった。怒りのあまり本音を思いっきり口に出しちまった。


しかもそれをしっかり聞いたリアナがキョトンとした顔でこっちを見てきてるし。健一に至っては何かを悟ったかのように優しい笑みをこっちに向けてきてやがる。


「それってどういう……こと?」


……俺はさっきとは違う覚悟を決めた。


「だから……俺はお前が自分自身のことを全く考えて無いことに腹が経ってんだよ、あぁそうだよ。

別に呼び出された事に関しては本当はなにも思っちゃいねぇ。いやむしろ面白そうとまで思うね。

ただお前が心配なんだよ。わかったか!」


俺は言い終わるとリアナから顔を逸らした。……恥ずかしくて直視出来ない。


「……あんたそんなに私の事を考えて……でも、どうして?」


おい、なんでそんな事をそんな潤んだ瞳でしかも上目遣いで聞いてくんだよ!


「……ひ、一目惚れしたんだよ! 悪いか! ……もう俺、ちょっとその辺うろついてくる!」


……ダメだ言っちまった。恥ずかしすぎる。


しばらくその辺に行ってよう。でも俺が去ったあとの話は聞きたい。どうすれば……


ん?なんだこの感覚は?聴覚がどんどん良くなっていくのがわかる。何かが耳のほうに集まっていく感覚もある。


……これは一体なんだ?

次回は今回より早いペースで投稿できれば……


読んでいただきありがとうございます。

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