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それが僕らの異世界譚  作者: 尾柄佑亮
プロローグ
2/6

呼び出し

あれから6年が経過した。


あの事件の後、自分にもっと力があれば……と自分を恨んだ。自分を憎んだ。

もちろんあの男を憎んでもいたがそれ以上にだ。



それからしばらくは、とても酷い状態だった。毎日毎日後悔ばかりしていた。



だが今では落ち着いている。


無論、彼女のことを忘れる事はできそうにない。

でももう同じ思いはしたくない。そう心に誓い、ある時から体をひたすら鍛え続けてている。いつか護りたいものが出来た時に護れるように……



しかし僕がこんなに前向きになれたのはある1人の……親友との出会いによるものが大きい。



それは中学1年のとある4月の日の事だった。


当時まだ彼女の事を引きずっていた僕は、自分でもわかるほど暗い表情をしながら日々を過ごしていた。


そんな僕に近寄って来る物好きは誰もいなかった。


あの日までは……




その日も僕は、何をするわけでもなく、ただずっと外を眺めていた。


---学校面白くないなぁ、早く帰りたいなぁ---

そう思いながら。



すると突然肩を叩かれた。


僕は驚いて振り向いてみるとそこにはきりっとした顔立ちに168cmくらいの身長、そして制服を少し着崩している……いわゆるイケメンが微笑みながら立っていた。


そして彼は僕が振り向いたのを確認するとこう言った。



「お前入学してからずっと暗い顔してるよな。

なあ、せっかく中学生に成ったんだろ?ならもっと楽しい顔してさ、青春を謳歌しようぜ!!」




それが僕と親友~島崎真司(しまざきしんじ)|~の出会いだった。



それ以来僕の世界は変わった。


なぜかいつも真司が僕と行動を共にするようになった。


始めは正直鬱陶しかったが、それでも真司と一緒にいる時は楽しかった。


そして、当時の僕とは正反対でとても明るく前向きな真司を見ていると、後悔ばかりしていてはいけない、そう思うようになった。 体を鍛え始めたのもこの頃からだ。



そして真司と一緒の高校に進んだ。


真司はあれからさらに身長が伸び、今では176cmほどもある。足も長い。

……正直イケメン過ぎて嫉妬している。


それに対して僕は四捨五入すると170cmに何とか届く……そんな身長に平々凡々の容姿。

どう考えても真司の引き立て役にしか成っていない……



そんなこんなで今に至る。


さて、何で辛い過去までわざわざ回想していたのかと言うと……





今朝投稿したら靴箱に、ハートのシールで封がしてある、ラブレターにしか見えない手紙が入っていた!!


それを見て僕は、だいぶ変わることが出来たんだなあ……と思い回想していたわけだ。



「どうした健一……ってお前それラブレターじゃねぇか!

そうか……遂に健一もラブレターをもらう年頃になったのか……時が立つのは早いな。」


「お前は僕の親父か。」


思わずつっこんだ。


「まぁそう言うなって。

……で、なんて書いてあったんだ?」


「うん、ちょっと待って。」


そう言って僕は手紙を開いてみた。するとそこには……




『伝えたいことがあります。もしよろしければ放課後屋上まで来てください。』


そう書いてあった。







放課後、僕は真司と一緒に屋上へ出る扉の前に来ていた。


「おい健一、お前いつまでそわそわしてるつもりだよ。もうすぐ手紙の子に会うんだろ?もっとシャキッとしろよシャキッと。」


「そう言われても緊張してどうしようも無いんだよ。」


僕はつい弱気なことばを口にしてしまった。


「なら一緒について行ってやろうか?」


「大丈夫だよ!!……というか真司が来たいだけなんじゃ……?」


「……ん、んなことねぇって。

まぁ一発かましてこい!」


「今の間はなに?それにかますって何を……」


「そんなことは気にすんなって!」


「……もう良いよ。じゃあ行ってくる。」


まったく……真司は何を考えてんだろ?

ただただそう思いつつ扉の前に立ち、思いっきり扉を押した!!







しかし扉は開かない……

僕は焦って何度も扉を押した。しかしびくともしない。



「おい健一……そ、その扉は押すんじゃなくて引くんだよ。」


するとそんな笑いをこらえたような真司の声が聞こえてきた。


僕は真司の今の様子を想像すると、後ろを振り向けなかった。








屋上に出るとそこには誰もいない。




---あれ……まだ来てないのかなぁ?---


なんてことを思っていたら、


「やっと来てくださいましたか。我らが救世主ケンイチ様」


なんて声がしてきた。


「え……誰か居るんですか?」


正直誰も居る気配なんてしない。こ、怖い。



「ここに居ります。」



するとそんな声と共に目の前に黒い猫が現れた。


……猫?



「もしかして、君が話しかけているの?」


恐る恐る僕はその黒猫に尋ねた。


いや、流石にそれはないよね……ははは、遂に頭がおかしくなってき「はい」


……え?


「正確にはこの生物を媒介として話をさせて頂いております。」


「……」



気が動転していて何も言えない。



「救世主様。いえ、勇者ケンイチ様。どうか私共の世界へ来て下さらないでしょうか」


「……はい?

ごめんなさい何の事か全ぜ」「ありがとうございます!では早速転送致します!」


え?僕良いなんて言ったっけ?

というか転送って……何?


「では転送を開始します!」


その声とともに僕の上空に巨大な魔方陣が浮かび上がりそのまま僕を呑み込まんとばかりにゆっくりと降りてきた。


---ヤバい、逃げないと---


そう思い僕は逃げようとした。



「おい健一、危ない!!」



……しかし僕を庇おうと突っ込んできた真司に捕まり、やがて僕ら2人は魔方陣に呑み込まれた。

これから不定期更新となりますが、よろしくお願いしますm(__)m

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