河童の風穴
河童と書いてカワラベと読ませています。
強引…?
夜中1時に暑さで寝れなくて書いた回です。
さて、大丈夫かな?
駅から暫く歩き、ここは真人の家。
暑い外とは打って変わって、室内は冷房を利かせている。
因みに、真人の両親からは熱烈な歓迎を受けた。
「大きくなったわね!」
「実君!久しぶり!向こうの生活はどう?」
などと定番の質問をされたり…。
当然リオナについての質問も飛んできた。
「この子は?実君の彼女?」
「へ?あ、いや…。えと…」
返事に詰まる。
河童だなんて言っても信用してもらえないだろう。
逆に信じられて騒ぎになっても嫌だ…。
「ミーノの親戚の子だって。両親がちょっと海外出張で家を留守にするから、ミーノの家に預けられたんだって。で、せっかくだからっていうんで遠野に連れてきたらしいよ」
真人、ナイスフォロー!
こうして、今俺たちは真人の部屋にいる。
氷の入った麦茶を前に、姿を見せたサミも混じっての会話も弾む。
「さっきは助かった!ありがとう」
素直に感謝を述べた。
そりゃ、聞かれることくらい予想ついただろうに、何も考えなかった俺のミス。
「ああ、リオナちゃんのこと?」
「そうそう。よくとっさにあんな設定が思いついたなと…」
「あぁ。最近、そういう設定のゲームやったんだよ」
なるほど…ゲームか…。
昔からゲーム好きだったもんな、真人。
「昔の実ってどんなだったの!?」
「それは私も知りたいわね~」
リオナとサミが真人に聞く。
「えっとね…。とにかく元気!って感じかな?みんなのリーダーみたいな?」
「そんなでもなかったよ…?」
俺が否定すると、真人は部屋の一角をごそごそと漁り、古いアルバムを持ってきた。
「ほら!これがミーノ!」
「ちょっ…!」
開かれたアルバムには、満面の笑みでピースサインをする、幼き日の俺…。
河辺で撮った写真で、背後には川。
格好は水着。
何故ゴーグルを首にかけている…?
というか何歳のころだ?
「これね、ミーノが5歳のときのだよ」
「…止めて欲しい」
何となく昔の写真を見せられるのは恥ずかしいものだ。
「実って、昔から変わんないねー」
「ねー!」
リオナとサミが笑顔で顔を合わせる。
「んでさ、この川ってどこだっけ?」
何気なく真人に聞いた。
「ん?神社の横を歩いて行った方だよ!覚えてない?河童の風穴がある神社!」
そういえば、穴は神社の裏だっけ…。
「なんとなく思い出した!あの秘密基地作った神社!」
「そーそー!秘密基地っていうか、ただ神社の裏にレジャーシート持ち込んだだけだったけどね」
そう言って、2人で笑った。
その間も、サミとリオナはアルバム眺めていた。
「ちょっと行ってみる?思い出の地巡りみたいな?」
「いいよ!行こう!」
この言葉に、アルバムから目を離したリオナとサミ。
「どこ行くの?」
サミとリオナが同時に聞いた。
「思い出の地巡り!」
リオナを連れ、外へ出る。
夏の夕暮れ時は、暑さも幾分か和らぎ散歩には丁度いい。
サミも他の人からは見えないが、俺達からは見えるので会話には入れる。
十分ほど歩いた所に、昔俺が住んでた家。
今の家より広い。
空き家となっているらしい。
広めの庭には雑草が腰ほどの高さまで茂っている。
こういうの見ると、何だか複雑な気分になるよな。
というか、周りはみんな親戚の家だったりするのだが、ここを出た経緯上何となく肩身が狭い。
バレないようにそっと歩いた。
次に向かったのが神社。
御神体は河童の彫刻。
境内にも狛犬の代わりなのか河童がやたら目を引く。
大きいとは言えない神社だが、地元民からの信頼はあつい。
一応、夏祭りの会場になるし…。
「だからさ、何で人間がイメージする河童はみんな古いの?今の河童は頭に皿なんて無いよ!」
狛犬ならぬ狛河童にイチャモンを付けたリオナ。
「……ここは…」
サミがそっと呟いた言葉が、俺は少し気になった。
「穴も見てく?ミーノ、あの穴から御札剥がして騒ぎになったよね!」
笑いながら真人が言った。
そんなこともあったねぇ。
思い出しながら穴へと向かった。
神社の裏は山になっており、山肌にポッカリと口を開けているのが河童の風穴。
入り口には木製の、半ば朽ちている柵があり、侵入者を防いでいる。
奥は暗くて見えない。
入り口には、おびただしい数の御札が貼ってあり、不気味さが目立っている。
「柵なんてあったっけ?」
真人に聞いた。
「それ、ミーノが入ったせいだよ。何か、村にとって大切な場所だから、勝手に入られるのはマズいんだって」
笑って話す真人。
結果大変なことなのでは…?
「実…。ここは嫌…。早く離れようよ…」
暫く黙っていたリオナが言った。
涙目の、その体は小刻みに震えていた。
「…やっぱり、分かるのね。実、ここはダメ。早く次のとこに行こう」
サミまでもがそう言った時だった。
「あなたたち!それ以上穴に近づいちゃダメよ!そこは言うなれば村の聖域だからね!」
後ろから声がした。
ゆっくりと振り返る。
そこには、箒を手にした少女が1人立っていた。
微かに記憶に残る、少女が…。
「何だ真人か。それと…実兄ぃ!?」
大声を出す少女に驚き、俺の後ろに隠れたリオナ。
「何で!?何で実兄ぃがいんの?」
「あっと…。あはは…」
笑うしかなかった。
俺達は神社の中へと上がった。
そして出された麦茶を口にしながら話し込んでいる。
「リオナちゃんか!よろしくね!」
リオナを人間と偽って紹介したのだが、案外すんなり打ち解けた。
「私は、茜家あやめ。実兄ぃの家系の本家。因みに、実兄ぃの2つ下だよ」
自己紹介を終えて、互いに手を握りあう。
「でさ、あなたの名前は?」
え…?
あなた…?
明らかに目線はサミを捉えている。
「えと…?え…?見えてる…?」
恐る恐る確認。
「にひひ~。私、神社の子よ?ごまかせるとでも?リオナちゃんだって、人間じゃないんでしょ?」
なんかバレてる…。
なら隠してもしかたないか。
神社の娘、侮れん!
「私はサミ。よろしくね!」
笑顔で振る舞うサミ。
「なんかバレてるみたいだから言うけどさ、サミは河童なんだ。しかし、あやめにバレるとは…」
昔から直感だけで生きてるようなやつだったからな…。
「大丈夫!人には言わないから!」
そんなことより、気になったことが…。
「おじさんは?出掛けてんの?」
この神社には、おじさんとあやめの2人が暮らしていたのだ。
しかし、おじさんの姿が見えない。
せっかくだから会いたいのだが…。
「あ…。あのね…ミーノ…」
真人がフォローに入ったのだが…。
「お父さんね、死んじゃったんだ。だから、今は私1人…」
「ミーノが引っ越してすぐだったかな。ミーノ、引っ越す記念に風穴の御札剥がしたでしょ。あの時大騒ぎになったのは覚えてると思うけど、もう一度封印しなきゃって、おじさん大変だったんだ。ミーノが引っ越した後だけどね」
「お父さん、その時にね…。体壊しちゃって…それで…!」
涙ながらに話すあやめ。
…俺のせいじゃんかよ。
あやめのお父さんが、亡くなったの。
「……ごめ」
「謝らないで。実兄ぃのせいじゃ…ないから…」
そう言って、笑ってくれた。
「ごめんね。湿っぽい話で。そういえばリオナちゃん。何であの穴怖がってたの?」
話題を変えたあやめ。
それは、俺もあとでしようと思っていた質問だった。
「…なんか、あそこは入っちゃいけない感じがしたの。何か大切な物を失う気がする…。でも、何か大切な物があるような気もする」
「サミちゃんは?」
「何か…怖くはないんだけど、確かに何かある気はする感じ…」
二人とも、何を感じたと言うのだろう?
というか、あやめに聞けば早いんじゃね?
半ば自分家の庭だし…。
「あやめ、穴の中に何があんの?」
「にゃはは!私も入ったことないの!ただ、大切な場所って言われたから守ってるだけで、詳しくは知らないんだ」
笑いながら言ったあやめ。
「んじゃ、そろそろ帰るわ。もう日も落ちたしね」
真人のこの言葉をきっかけに、立ち上がる俺達。
そして神社を後にした。
真人の家での夕飯は豪華だった。
歓迎されてんだな~と、感激。
その後は風呂を借りて寝た。
水着で河原に立っている、幼い俺。
空は青く澄んでいる。
麦藁帽子を深く被り、白いワンピースを着ている女の子が話かけてきた。
「あなたのお名前は?」
顔は帽子で見えないが、笑顔なのはハッキリわかった…。
そんな夢を見た。
美しい、夏の夜の夢だった。
初期にノリで書いたことが今になって立てた道筋の邪魔をしてます。
よくある…ことなのか?
いいや、最後に編集して辻褄を合わせてしまえば!
…サイテーですね。
最近の話は笑いがないですね~。
まぁ、ボケたらふいんき(何故か変換できない)が壊れるんで…。
暫くはこの雰囲気(変換できた)を大切に行こうと思います。
河童の風穴、重要ですよ!的なノリですね!




