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七夕

朝、俺は誰よりも早く起きた。


リビングではリオナが寝ている。


それを全く気にせずテレビを付けた。


「今日は7月7日七夕です。全国的に晴れるので天の川を綺麗に見ることができるでしょう」


というお天気キャスターの声が聞こえた。


「あ、そっか…。七夕かぁ。忘れてた」

俺は一人呟いた。


「今日の最高気温は35℃…」


テレビを見ながら俺は沖縄の親のことを考えた。


「暑くないんかな…?」




暫くするとサミが起きてきた。


「あ~。リオナはまだ寝てるの?」


サミが目を擦りながら言った。


「あぁ。寝てるみたい。あんまりそこで寝られると邪魔だな」


「邪魔って…。じゃあ起こす?もう8時だし」


「うん。起こしてやって。出掛けるし」

「どこ行く予定?」


「渋谷のプラネタリウム。今日七夕なんだとさ」


「夜本物を見ればいいのでは…?」


「昼に予習しとく!予習は大事!」


「まあ…そうだけど…。天の川くらい、見ればわかると思うよ?」


「そうかな?まあ良いじゃん。他にも東京に行きたい場所あるし」


「ならいいけど…」


「じゃあ、リオナ起こしてやって」


「うん」


サミがリオナを起こす。「起きて~。リオナ~」


「ん~…もうちょい寝かせて…」


「実、どうする?」


「起こしてやれ」


「リオナ~。起きないと連れてくよ?」


「あー!起きるから連れてかないで~!」


「冗談です」


「幽霊に言われると冗談に聞こえない…」


「でも目覚めたでしょ?」


「まぁ…うん」


「ならよし!」





「そら、朝飯。キュウリが良かった?」


「キュウリは好きだけど…別にそんな常に食べてるわけじゃないし…」


「肉食か?」


「基本人間と同じに扱ってちょうだい」


「はいはい。そりゃ楽でいいや」


「で、何で起こしたの?もっと寝てたかった…」


「出掛けるからさ」


「どこに?遠野か?」


「長野は遠いからな~…そのうちな」


「はぁ、私は帰れるのかしら…」


「いや、知らん」


「はあ!?そこは普通『大丈夫。俺が何とかしてやる。帰れるから心配すんな』とか言って励ますでしょ!」


「なんで俺がそんな恥ずかしい台詞言わなきゃいかんのだ?」


「冷たいやつめ」


「なっ…飯食っちゃえよ!」


「で、どこ行くの?」


「ああ…東京。お前の服も買わなきゃだし。江戸城とか見たいし…」「江戸城!城な!」


「あ、うん。知ってんの?」


「うん。河童界でも有名だよ」


「そうなん…?何故あの城が…?」


「さあ…」





飯も食い終わり、俺たちは東京に行った。


「ほれ、江戸城だ。今は皇居だけど」


「おー!確か…作ったのは…徳川家康?」


「何故そんなこと知ってんだ…?まぁ建てたのは家康じゃないけど」


「あれ?じゃあ誰?」


「大工」


「いや、そうじゃなくて…」


「冗談だよ。太田道灌って人だったはず。家康は改築した人」


「へぇ~」


「サミは?さっきから黙ってるけど…」

「え?いや…」


「どした?」


因みに、サミと話している姿は端からみたら独り言である。もう慣れたことではあるが。


「いや…その…えっと…」


「…?」


「こんなこと言っても信じないかも知れないけど…」


「何?」


「あそこに霊がいます」


「…すごい信じるよ!サミ自身が霊なんだし!」


「信じてくれます?」


「誰?あそこってどこ?」


「あの…桜田門のあたりです」


「うっ…止めとこう…。それはマズい」

「誰だか知ってるの?」


「いや…心当たりが…」


「誰?」


「井伊直弼っていう大名」


「へぇ~。聞いてこようか?」


「え?何を?」


「直弼さんですか?って」


「いや、いいよ」


「何で?」


「いや、霊だし…。何されるかわからんし…。まぁ、水戸出身じゃないからな…」


「そうか~。じゃあいいか」


「うん。服買いにいこ」


「どこで買ってくれんの?」


リオナが聞いてきた。


「家の近くのしま○ら」


「え?もう帰るの?」


「うん。ほら、霊とか苦手で…」


「そうですよね…どうせ幽霊なんて夏涼しく過ごすための道具ですよね…。はぁ…」


「いや、サミは別に…。怖くないし」


「そうですか」




一同揃って帰宅。


「服も買ったし…時間は…まだ午前ってどういうこと?」


「朝早く行き過ぎ!」


「でしたね…」


そこで俺は思いついたように言った。


「カラオケ行く?」


「カラオケ?」


「うん。歌うの」


「行く!」


「じゃあ行くか」



フロントで受付を済ませて部屋へ向かう。


230号室。


「この部屋は昔無理心中があった……」


語るサミ。


「えっ!?そうなの?」


驚くリオナ。


「悪ふざけは止めましょう」


止める俺。


「はい、すいません」


「なんだ嘘か~…」




「で、これどうするんだ?」


カラオケ初めてのリオナ。


「ん?好きな曲入れるんだよ。まず俺が入れるからさ」


「うん」


俺が入れた曲…。


『頑張り続ける君へ』

「どんなに頑張ってもやり切れない そんな日もあるさ だけどそんな日常にも負けず君は頑張り続けている 君が信じる物は何? 未来 家族 友達 恋人 それとも自分? 疲れているはずなのにどうしてそんなに頑張るの? どうか無理はしないで欲しい 僕はいつも君の味方でいるよ 君を応援しているよ だから 君が苦しい時は僕に頑張らせて欲しい」


「…なかなか真面目な曲を入れるんだねぇ…」


「え?うん」


「私はこれ歌おう!」


リオナが入れた曲。

『おじいちゃん!あれ?おばちゃんだった』

「あのぉすいませーん! 道を聞こうとその辺のおじいちゃんに声をかけた おじいちゃん!この辺で自転車を縦に三台横に五台ポッキリ置ける駐輪場はありませんかー? ごく普通の質問 しかしそのおじいちゃんは… 私は女じゃーなどと言って質問に答えてくれなかった 世の中の人間は冷たい」



「…?何の曲!?」


「えっと、昔のドラマ。『一発かますぞ!!』って知らない?」


「知らないよ!」


「世間知らず…!」


「うるさいよ!」


「次は私が…」


サミが入れた曲。

『嗚呼愛しの肉団子』

「肉!肉!肉!肉!肉団子!肉!肉!肉!肉!肉団子! ああ~愛しの肉団子ちゃん どうしてあなたは丸いのか~ 団子だからか~ 丸いだけで団子とか名前付けられたらたまったもんじゃないわ~ でも そこがいい…! わお!」


「あーもう!何でみんなして変な曲ばっかり入れるんだ!?」


「そのほうが楽しいじゃん?」


「そうだよ!」


「まぁ…楽しいけどさ…」




帰る頃には夜になっていた。


「あ、天の川!」


サミが叫んだ。


「今日は七夕か。七夕の発祥は奈良時代に中国から入って来たキコウデンとかいうイベントなんだと。室町時代には発展して7種類の遊びをしたりと7尽くしのイベントになってたんだ」


「へ?あ、うん。え?」


「人の話はちゃんと聞きなさい!」


「うん。眠い」


「あ~…もう!帰って寝なさい!俺は明日学校だから留守番してて。夜には親帰って来るし…」


「え?留守番?」


「うん。学校に連れてく訳にはいかないだろ」


「え~…」


「大丈夫。サミもいるし」


「なら…」


家に帰ってすぐに寝た三人(一人霊)だった。


リオナ「いろいろ適当だったねぇ…」


実「うるさいな!作者も大変なんだよ!」


「どう大変?」


「それは…いろいろ大変!」


「あの曲は何?私に何歌わせてんの!?」


「作者渾身の作詞…。曲は適当に付けて下さい」


「適当な…オリジナルの詞なの?」


「一応オリジナルだよ。いろいろ参考にはしたけど…俺が歌ったやつだけ」


「個人的には『きゅうり味のビー…」


「それ以上は言わせないよ!」


「やっぱりこの後書きいるかなぁ…」


「要らないね…」


サミ(私も出番が欲しい…グスン)


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