あーかい部! 〜部室棟 乙女の干物 集まりて 怠惰を極め 綴るは実績 電子の海へ あゝあーかい部〜 76話 好きな食べ物
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「…………時に白ちゃん先生。」
「何、流行ってるの?その『時に』ってヤツ。」
あさぎと白ちゃんがテーブルを挟んでいつものパイプ椅子に座していた。
「話を切り出すのに便利じゃないですか。」
「それ使って切り出されるのは突拍子もないか碌でもない話なのよ……。」
「残念でした、両方です。」
「帰る。」
白ちゃんは立ち上がってあさぎに背を向けた。
「帰ったら泣いちゃいます。」
「おう、泣け泣け若人よ。」
「……教頭先生の前で。」
「よし話せ。」
白ちゃんは座り直してあさぎと向き合った。
「ではお言葉に甘えて……、好きな食べ物は。」
「……………………、は?」
「『食べ物』って、わかりま
「わかっとるわ!」
「ではではどうぞ……!」
「え、なに?もしかしてあさぎちゃん、お見合いでもするの?」
「この私がですか?」
「……愚問だったようね。」
「はい。悔い改めて答えてください。」
「だいたいなんでもウェルカムだけど、強いて言うならアルコールかしらね?」
「恥ずかしくないんですか?」
「あと10年もすればあさぎちゃんも恥ずかしくなくなるわよ。」
「お酒ってそんなに良いもんなんですかねえ……?」
「ま、それはそれとして。なんでこんな会話に困った小学生みたいなこと聞くの?」
「え、まあそれはその……。」
「大丈夫?悔い改める?」
「大人気ない……。」
「童心は尊いものなの。」
「好きな食べ物アルコールとか言った口でよく言えますね。」
「それはそれ、これはこれよ。」
白ちゃんはパントマイムでもするみたいに『それ』と『これ』を虚空で仕分けてみせた。
「それにしても、あさぎちゃんが『好きな食べ物』なんて…………、もしかして私に手料理を!?」
「缶ビールのワイン漬けでも作りましょうか?」
「それは別々にいただきたいわね……。」
「別々だとしても、いつか生まれてくる子どものおふくろの味を酒にするのはいかがなものかと……。」
「え、なに?今日はおふくろの味トークだったの?」
「あ"……。」
あさぎは慌てて目を逸らした。
「な〜るほど?それで、『突拍子もない』し『碌でもない話』って訳ね。」
「ま、まあそういうことです。この際なんで、おふくろの味に思い出とかありませんか?」
「そうねぇ……美味しかったとは思うけど、どれも『お店に出てきそうな味』だったことくらいしか……。」
「現代だと、知らないうちに冷凍食品がおふくろの味に……なんて家庭もありそうですもんね。」
「そんなに昔じゃないからね……?」
「そうですか。」
「『現代』といえば、あさぎちゃんの家はどうなの?おふくろの味現役でしょ?」
「うちはお母さんが忙しくて、料理はもっぱら出来合いなんですよね……はは。」
「もしかして悪いこと聞いちゃった……?」
「いえいえ!?たまに囲む食卓は暖かいし、お隣さんが引っ越してきてから、お母さんもいっそう楽しそうですよ♪」
「しれっと親子の団欒に混ざってやがる……。」
「ま、まあでもお隣さんの料理好評なんで……!?」
「ふぅん?なら良いけど。」
「私も、もっと色々作ってあげられれば良かったんですけどね……。」
「……な〜るほど?それで、おふくろの味を研究しようって訳ね♪」
「そういうことです。」
「よしっ!可愛い教え子の頼みだし、ここは私が一肌
「缶ビールのワイン漬けは無しで。」
「…………。」
「?」
「…………ちくしょぉぉおおッ!!」
白ちゃんは台パンした。
「いや、未成年に何仕込もうとしてるんですか……。」
「ままま、まあ……?料理できなくたって考察なら役に立てるわよ。」
「……。」
「哀れみの目で見るなっ!」
「はーい。」
「じゃあ『おふくろ味』について考えてみるけど、そもそも『おふくろの味』って何味なのかしら……?」
「たぶん味覚の話ではないかと。」
「…………、わかってて聞いたのよ。」
「よく、懐かしいとか思い出の〜、なんて枕詞が付きますよね。」
「味覚よりも愛着の話かもしれないわよね。」
「そうだと、人によって千差万別ってことになっちゃいません?」
「う〜ん…………、私は違うと思う。」
「『違う』?」
「ちょっと失礼するわね?」
白ちゃんはテーブルに身を乗り出すと、対面に座っていたあさぎの両ほっぺを摘んで左右に引き伸ばした。
「……いひゃいんれふへほ(痛いんですけど)。」
「そう、それよそれ。」
「ほえ(それ)?」
「『痛み』の感じ方は人それぞれだし、他人の痛さは想像するしかないじゃない?」
「……ほうほうほふははあへへふらはいお(想像力働かせてくださいよ)。」
「……でも、世界中に『痛み』を表す言葉はあって、それが良くないもので、身体が危険な状態だ……って、世界中の人はみんな理解してるわけよね?」
「わはひおほっへあひへんあんれふへほ(私のほっぺが危険なんですけど)。」
「だったら、『おふくろの味』にもおんなじことが言えるんじゃないかしら?」
「ひょうふうろはんはふらあうほ(共通の感覚があると)。」
「え?……ああ!ごめんごめん、摘みっぱなしだったわ、あはは。」
白ちゃんはようやくあさぎのほっぺから手を離した。
「絶対わざとだ……。」
「で、あさぎちゃんなんて言ってたの?」
「『共通の感覚がある』って言ったんです。」
「……よし!私の言ったことはバッチリ伝わったようね♪」
「それじゃあおふくろの味について、考えていきましょうか。」
「おー♪」
あーかい部!(5)
あさぎ:投稿完了
白ちゃん:お疲れ様♪だいぶ長いこと話し込んじゃったけど、大丈夫だった?
あさぎ:分割したので
ひいろ:随分盛り上がってたみたいだな
きはだ:何話したのぉ?
白ちゃん:おふくろの味について
きはだ:大丈夫?缶ビールのウォッカ漬けとか言ってないよねぇ?
あさぎ:すごいよきはだ、ニアピン賞だ!
きはだ:えぇぇ……
ひいろ:えぇ……
白ちゃん:言い出したのはあさぎちゃんよ!
ウィスタリア:つまり白ちゃんさんは、腐った桃太郎……
白ちゃん:ウィスタリアちゃん?
ひいろ:そういえばお酒の始まりは腐敗した果物だったな
きはだ:酔狂酔狂!
あさぎ:なるほど、腐敗した果物から生まれたのならおふくろの味が缶ビールのワイン漬けなのも頷ける……!
きはだ:本当にわりと惜しくて草ァ!
ひいろ:それで、結論は出たのか?
あさぎ:それはまた続きで
ウィスタリア:劇場版商法は注意されますよ?
あさぎ:やらないやらない
白ちゃん:映画になんてされてたまるもんですか
ウィスタリア:チッ……
ひいろ:舌打ちされるなんて、随分と心をゆるされているじゃないか
白ちゃん:愛情表現屈折しすぎでしょ……
あさぎ:舌打ちツンデレ系お嬢様……
白ちゃん:おいこら
ウィスタリア:これは熱烈なリクエストが……
白ちゃん:まともに取り合わんで良い




