あ!勇者が追放シチュに憧れている!
出てくる人たち
勇者:なんやかんやで魔王と共闘中。創作話に憧れている。
魔王:なんやかんやで勇者と共闘中。甘いものが食べたい。
勇者「よくあるじゃん、「おまえをパーティから追放する!」ってシチュエーション。パーティの中でも最弱っぽい人を追放したら、その人が実はとんでもない才能持ちでめきめき頭角を現して一躍有名になって……結局パーティからその人を追い出した勇者が一番の悪者になって……みたいなやつ。ちょっと憧れあるんだよね」
魔王「へえ。悪徳勇者に憧れが」
勇者「僕って基本正義の味方で居なきゃじゃん?だからさ、なってみたいのよ、悪徳勇者ってやつに」
魔王「まあ、悪の化身みたいなアタシにアンタを止める筋合いはないけどさ。勇者ちゃん、自分のパーティの人数言える?」
勇者「僕一人」
魔王「だよなあ?追放するメンツ居ないよなあ?」
勇者「そうなんだよ!ぼっちなんだよ僕!できないんだよ追放!」
魔王「じゃあ誰かしら雇えばいいじゃない、追放する為だけに」
勇者「勇者は修羅の道を歩むものだから、パーティ組んじゃいけないんだって。具体的に言うと、勇者パーティっていうだけで常に誰かしらの命を危険に晒しているわけだから、連れの誰かが死んだら組合から下りる保険金が馬鹿にならないらしくて。だったら身内の居ない勇者が一人危険に晒されてた方が被害が少なくていいんだって。勝手に死んだり暗殺されても行方不明扱いできるし金銭面的にうやむやにできるし便利!的な事情があってね」
魔王「聞きたくなかったな、ニンゲンのそういう事情」
勇者「まあ、僕と魔王くんがこの戦いを終わらせれば一応世界は平和になるんだし。そうすれば僕も勇者辞めてただの冒険者に戻れるんだし、そしたらパーティ組めるようになるんだから」
魔王「そうだな。で、勇者の立場を降りてからパーティ組んで誰かしらを追放する感じでいいの?」
勇者「……いや、正義の味方で居る内に追放したい!元勇者が悪徳だって言われたくない!現勇者の内にワルになりたーい!」
魔王「そう言っていられる内は無理だろうな」
勇者「あっ!ひらめいた!」
魔王「通報した」
勇者「まあ聞いてよ。今の僕には魔王くんが居るじゃないか!あなたは紛れもなく僕のパーティメンバーだ!」
魔王「アタシは貴様とパーティを組んだ覚えは無いが?あくまで共闘関係にあるんだが?RPGで言うゲストキャラクター的なポジションなのだが?」
勇者「魔王くん!あなたを僕のパーティから追放する!理由は、えーと、えーっと……」
魔王「うん」
勇者「……」
魔王「……」
勇者「…………」
魔王「…………」
勇者「……追放する理由、無いね」
魔王「だろうな。アタシと勇者ちゃんはこれからどデカい敵をぶっ倒す為だけに共闘関係結んだんだからな」
勇者「僕とあなたはもうマブダチみたいなものだし。もう切っても切れない関係なんだし。それに魔王くんつよつよだし。居てもらわなきゃ困るし」
魔王「うん」
勇者「…………あっ!」
魔王「言わせねえよ?」
勇者「まあ聞いてよ。僕はこのパーティから僕を追放する!そうすればパーティはからっぽだ!どうだ!勇者パーティの勇者の席を空けてやったぞ!これで僕もワルの仲間入りだー!」
魔王「甘いもの買ってこよ」
完




