第10話
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「うわー!」
「助けてくれー!」
暴れまわるロボットに、なすすべもない受験者たち。誠太朗は薬による肉体強化のおかげか、なんとか突撃攻撃をいなすことができていた。
「あっぶな!…くそ、はあ。かわしてるだけじゃジリ貧で負ける。何か使えるもの…あ!」
体育倉庫の中身が散乱しているかのように球技用品や、フラフープ等が置いてある中から鉄バットを持ち、ロボットに思い切り振りかぶる。しかし、本体には当たらず、アームで防がれてしまう。
「はあ!?イビルに防ぐ知能あるのかよ!」
一旦離れ、距離をとる。ほかの受験者は他2体のイビルを模倣したロボットに苦戦しているようだ。
(あいつら使い物になんねえな…あれ…3人しかいない…?全員で5人だったような…)
「先輩。」
突如、後ろから声を掛けられる。振り向くと白髪のショートカットの女の子が、隙間がないほど間近にいた。こちらを見透かしているような大きな目でこちらを見上げている。
「あそこにヒーロースーツのアーマーがありますよね。」
女の子は、先程誠太朗がバットを取った場所を指さす。
「…あぁ、うん。腕のアーマーだけだけど。第一エレメンタルがないとただのガラクタだよ。」
「ほんとにそうですかね?」
「え?」
「使えるはずもないのに、腕のアーマーだけ置いときますかね。」
「まあ…いわれてみれば。」
「この腕のブレスレット、番号を表示するためだけにあると、みんなは思っていますよね。でも、それにしては頑丈すぎませんか?番号だけならもっと軽い…プラスチックに番号書いてあるやつとかでもよくないですかね。」
「うん。」
「頑丈な事にはきっと訳がある。例えば、ブレスレットの中にエレメンタルが入ってるとか。…試してみる価値はあるんじゃないですか?」
「…なるほどね。」
目の前のロボットを飛び越え、先程の場所に向かう。アーマーを右腕に装着すると、アーマーの手首の部分とブレスレットが合致する。右腕全体が淡く白色に光り、キュイイイインと作動音を出し始める。
「あいつの言った通りだな…!よし。」
ロボットに走り出し、両手でバットを振り下ろす。先程と同じように腕のアームで防がれたが、それを意に介さずに本体を破壊する。すぐに2体目のロボットへ向かい、同じようにバットを振るう。ロボットがギギギと不快音を出しながらボディが陥没し、動きを停止する。
「ありがとう…!助かったよ!」
受験者が安堵した顔で礼を言う。
「いや別に…」
「せんぱーい!流石ですねー!」
「…あ、おい!後ろ!」
遠くで女の子が手を振る。その後ろで両のアームを振りかぶるロボットの姿が目に入る。
(だめだ!間に合わな__________)
アームが当たる前に、女の子が素早く回転し、その勢いでロボットに蹴りを食らわせる。浮いた。蹴られた部分がへこみ、天井に叩きつけられ、衝突音が鳴り響く。漏れ出たオイルの匂いが鼻をつき、叩きつけられたそれは、バチバチと火花を散らしていた。その光景に、その場にいる全員が唖然となる。女の子はテクテクと歩き、誠太朗の前に立つ。
「わたし、黒瀬 唯唖っていいます。これからよろしくお願いします、先輩。」
唯唖はこちらを見上げ、笑顔で自己紹介をする。
「あ…うん…ヨロシク。ん…?黒瀬?」
「はい。先輩が通ってる黒瀬学院高等学校。の、学園長の娘です。」
「………………お嬢様じゃないですか………」
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