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15.【次々続々】



「あ?てめぇじゃねえよ」



俺だけに的を絞らずに、後ろから現れた柊も是非そこへ加えて欲しい。


美形が怒ると迫力が増すのを初めて知った。



夕太「部活辞めちゃうって本当ですか?」



柊は梓蘭世の苛立ちを含んだ声を気にもとめずに俺を押し退け、目の前の芸能人をスルーしもう1人の先輩へと真っ直ぐ駆け寄っていく。


俺だけが梓蘭世と対面する形になると、強い眼光に顔を背けることしか出来なかった。



楓「すげー、梓蘭世じゃん」



蓮池の声がして振り返れば、俺と梓蘭世を交互に見てニヤリと口角を上げる。


なんだよその含んだ目つきは。


蛇に睨まれた蛙だとでも言いたいのか。



楓 「等身えぐ」



堂々と賞賛する蓮池の声に拍子抜けしたのか、梓蘭世の眉間の皺が少しだけ緩んだ気がした。



楓 「ほぼ身長変わんねえのにな。やっぱ芸能人ってすげえわ」



蓮池は俺を上から下まで舐めるよう見たかと思うと同じ人間とは思えねえなと首を傾げながら柊の方へとスタスタと歩いていく。



雅臣「__って、おい!何が言いたいんだよ!!」



遠巻きに馬鹿にされたことに時間差で気づき、苛立ちを込め蓮池に伸ばした右手は梓蘭世に掴まれた。



蘭世「で、何見てたんだよてめぇは」


雅臣「いや、お、俺は…その…」



自分の声が意味もなく上擦って言葉が上手く続かない。


ここは素直に、すみませんあなたが芸能人でつい珍しくてだとか、綺麗で見とれてしまいましただとか言うべきなのだろうか。


そう言えば梓蘭世も機嫌が収まるのだろうか。


躊躇する俺と同様に、少し離れた所でもう1人の先輩が戸惑いの声を上げた。



「えっと…君は……誰かな?」


夕太「あ、ごめんなさい。俺は柊夕太って言います。先輩のお名前は?」


「あ、そ、そう。俺は一条梅生(いちじょううめお)…」


夕太「梅ちゃん先輩ですね!あの、梅ちゃん先輩さっき聞こえちゃったんですけど合唱部辞めちゃうんですか?」



柊の廊下中に響きわたる大声に、梓蘭世が舌打ちをする。



梅生「えっ?あ、うん…辞めようかなって…」


夕太「そんな!!困ります!!」


梅生「え、えぇ?どうして?」


夕太「俺梅ちゃん先輩が大好きだから!」



…………アホなのか?


柊は突然何を言ってるんだ。


俺への威嚇を切り上げた梓蘭世は、ものすごい勢いで柊の肘を掴む。



蘭世「突拍子もねぇこと言うなクソガキ!」


梅生「え、えっと…まずはお友達から…?」


夕太 「ありがとうございます是非友達から始めてください!」


蘭世「何受け入れてんだよ!やめろって梅ちゃん!」



……何なんだこの地獄絵図は。


差し出された一条先輩の手を握ろうとする柊と、その先輩を後ろ手に隠そうとする梓蘭世。


まるでヒロインを巡る三角関係みたいだ。


いやだから、ここは男子校なんだって。



楓「……つまり先輩に憧れてる、って言いたいみたいです」



蓮池が深く大きくため息をついて柊の制服の襟を後ろから掴み一条先輩から引き離す。


果たして本当にそれで合っているのかは不明だが、やっと全員が適切な距離へと戻る。



夕太「そういう事です!俺ってば気持ちが先走っちゃった。梅ちゃん先輩が優しくしてくれたあの日からずっと憧れちゃって…」



何の話なのかは相変わらずさっぱりわからないが、照れたようにポリポリと頭を搔く柊を無視して、梓蘭世は一条先輩の肩に手を回した。



蘭世 「変な1年は放っておいて帰ろうぜ、梅ちゃん」


梅生「は、離してよ…」



そのまま歩き出そうとする2人だったが、それを遮るよう後ろからバタバタと足音が近づいてくる。



「蘭世、ここにいたのか!」



その声と足音に振り返ると、先程の指揮者が立っていた。



蘭世「げ…三木さん…」



勘弁してくれよ。


次から次へとなんなんだ。


俺はもう帰りたいんだよ!


読んでいただきありがとうございます!

こちらは春チャレンジにて15話まで!

現在通常版の方で70話まで載せていますので、続きが気になる方はぜひ読んでいただけると嬉しいです♪

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