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第六十六話 密偵ってことですか!?

放課後、アイリスとサーラたちとのお茶会もしばらくできなくなりしょんぼりしながら何故かユーシェン様と家に帰宅しようとしていたところ王子殿下の使いの方に呼び止められた。

 「どうかなさいましたか?」

 私がユーシェン様と一緒にいることが想定外だったのか少し焦った様子を見せながらも使いの方は口を開いた。

 「エレナ・キーニャ様、王子殿下がお呼びです。」

 「私だけ?」

 「はい。」

 「俺は蚊帳の外か。まぁ、大方この国の問題についてだろう。大人しく先に帰らせてもらうよ。」

 そう言うなりユーシェン様はその場を後にした。

 「では、私に付いてきてください。」

 そう言われ、私は王子殿下の追加委の方の後ろについていった。


 使いの方は教室の前で立ち止まると数度ノックをした。中から「入ってこい」という声が聞こえる。

 「では、私はこれで。」

 そう言うなり使いの方はどこかへと行ってしまった。私は恐る恐る扉を開ける。そこは普段は使われていない空き教室だった。しかし、今はまるで執務室のようになっており、書類が散らばっている。そして目の前には腕を組み、深刻そうな顔をしたサーラと王子殿下が座っていた。

 「よく来てくれたエレナ。実は君に至急で頼みたいことがあってね。」

 「お兄様、私は反対ですわ。エレナを危険に巻き込むなんて。」

 「危険?頼みたいこと?申し訳ございません、話が見えてこないのですが。」

 私がそう言うと二人はハッとした顔をして気まずそうに顔を逸らした。

 「エレナ、ごめんなさい。そうよね、まずは話してみないと分からないわよね。」

 申し訳なさそうにサーラが謝って来る。

 「まずは呼び出した理由をお尋ねしてもよろしいですか?」

 「あぁ、そうだな。エレナ嬢は最近悪魔崇拝がこの国で確認されているということは知っているか?」

 「悪魔崇拝?そういえば話だけなら聞いたことがあるようなないような。」

 「最近は舞踏会のみならず学園内でも悪魔崇拝、教団のものが密かに自身の信仰を広げようとしているらしい。そこでだ、エレナ嬢には一学年の悪魔崇拝者を見つけて私に報告してほしい。これが一学年のリストだ。」

 そう言って王子殿下は紙束を渡してきた。中身は名簿になっており様々な家柄の令嬢、令息の名前が書かれていた。そこにはクラスメイトの名前もあった。

 「この中から悪魔崇拝をしているものを探すと。」

 「あぁ、かなりの人数がいるからな。君のお婆様の力を借りるといい。きっと何か見分ける方法を知っている筈だ。」

 「エレナ、こんな危険なことを任せてしまってごめんなさい。でも、信用できる人物があまりにも少なすぎて・・・。」

 「それで第三次悪魔大戦の英雄の孫が選ばれたわけだね。」

 サーラは肯定するかのようにコクリと頷いた。

 「私たちの方でも調査は続けていく。もし進展があれば私かサーラに報告してくれ。話は以上だ。引き受けてもらえるか?」

 ここでいう引き受けてもらえるか?断るという選択肢がない強制的な命令だ。王族の配下である私たち貴族に逆らえるはずがない。万が一下手をしたらお家取り潰しなんてこともあり得る。

 「分かりました。精いっぱい務めさせてもらいます。」

 私はそう返事をするしかなかった。


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