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第五十四話 交流

 大広間に着くとそこにはすでに四大公爵家が集結し、楽しそうに談笑していた。私たちが来たことに気づいたルバッフォ公爵が大きく手を振り、こちらの名前を呼んでくる。皆の視線も自然とこちらに向いた。

 「おーい、アンドレア!」

 「ロレンツォ!」

 お父様とロレンツォ様は目が合うなりお互いに歩み寄り熱い抱擁を交わした。いつものことなので特に何も思わずそれを眺めているとコッコッとヒールの音を響かせながら私たちに近づく者がいた。

 「ご機嫌麗しゅうキーニャ家の皆様。」

 そこにいたのは四大公爵家赤を司るフィアー家令嬢モニカ様だった。モニカ様とはお茶会で何度か話したことはあるが特にこれと言って仲が良いというわけでもない。一応同じ学年であるため学園で見かけることはあるがクラスが違うため会話することは一度もなかった。

 「モニカ様ご機嫌よう。僕たちに話しかけるということは何かご用があって?」

 「用事がなければ話しかけてはいけないのかしら。」

 オレンジ色の瞳を細めながらモニカ様は言う。

 「それもそうですね。」

 「わたくしはサミュエル様と少しお話がしたいと思いましたの。」

 「そうでしたか。それではあちらで腰掛けながらゆっくりお話ししませんか?」

 「そうしましょう。」

 来て早々にお兄様はモニカ様に連れて行かれてしまった。残された私たち兄弟は顔を見合わせる。

 「あれは恋の予感がしますわ。」

 「お兄様なんかすごくモテるよねー。」

 双子がそんなことを呑気に話している。確かにお兄様はモテる。お母様に似た端正な顔立ちと薄緑色の瞳と髪はどこか神秘的だ。意識せずに何かを憂いているような表情をしていることが多いため学園内で妖艶だ時いた時は心底驚いた。家でのお兄様は結構抜けてて結構な頻度でお父様に何かしらの事情で叱責されているところを目にする。そんなお父様の口癖がこれだ。

 『あれにはしっかり者の妻を探してやらねば』

 現当主であるお父様にそう言わせるなんてお兄様はお父様の仕事の手伝いはちゃんとできているのだろうか。もしかしたらお父様に色々と言われるのが面倒で寮に入ったのかもしれない。

 そんなお兄様が次期フィアー家当主とも言われているモニカ様に誘われた。これは何か恋のあれそれがあってもおかしくはないのかもしれない。

 「私の可愛い双子ちゃんたち、そうすぐに決めつけないの。」

 二人の頭を撫でながら私は言った。お兄様と過ごしてきた時間が長い私にはわかる。お兄様の心はもう決まっていることが。ずっとずっと思いを馳せている人がいることが。だから残念なことにモニカ様がお兄様の妻のポジションに収まる未来はあまり期待できない。だって、お兄様はその人しか見えていないのだから。

 「エレナ、メリッサ、トマス!」

 元気よくこちらに近づいてくるのはエドお兄様とノエミお姉さま、アガタちゃんの三人だ。

 「アガタったらメリッサちゃんが来るのをずっと待ってたのよ。」

 ニコニコと笑いながらノエミお姉さまが言う。

 「お姉さま!それは言わないって言ったじゃない!」

 「私もアガタに早く会いたかったですわ!」

 そう言うとメリッサはアガタちゃんに抱きついた。驚いた様子で両腕をバタバタとさせているアガタちゃんの姿は実に可愛らしい。

 「エドお兄様また筋肉増えたよね!どうやったらそんなに筋肉つくの?」

 「そりゃ毎日筋トレしてるからな。」

 「メニュー教えて!」

 それぞれが皆楽しそうに談話している。舞踏会、王城での貴族の交流は戦場だけど今この瞬間はいつものように和やかな空気が流れていた。私はそれを眺めていると肩を誰かに叩かれる。反射的に振り返るとそこには四大公爵家黄を司る家門コンティティ家の次期当主デメトリオ様が立っていた。

 「デメトリオ様。ご機嫌麗しゅう。」

 「こんにちはエレナさん。今って暇かな?」

 私は周囲を見渡す。うん、暇だ。

 「えぇ、暇ですよ。どうかされましたか?」

 「実は君と話してみたいと思って声をかけたんだ。よかったら二人で話さない?」

 思わぬお誘いだ。どういう風の吹き回しだ?コンティティ家といったら子供はデメトリオ様一人で夫人がヒステリックを起こしやすく現当主であるパオロ様が手を焼いているという話はよく耳にする。特に自分の息子には完璧を求めているらしく少しでも成績が落ちようものなら烈火の如く怒るらしい。そういうこともあってかデメトリオ様はとても大人しい性格で物腰はとても低い。もしかしたら私と話すように、と夫人に言われてやってきたのかもしれない。

 「えぇもちろん喜んで。」

 「よかった。それじゃあそこに座れるところがあるから。」

 デメトリオ様が手を差し出してくる。どうやら場所までエスコートしてくれるらしい。

 「ありがとうございます。」

 レディとしてエスコートを拒否することはできないため手をとる。

 「あれ?お姉さまどこか行くの?」

 私が場を離れようとしたことに気づいたトマスが声をかけてくる。

 「えぇ、デメトリオ様とお話をしてくるわ。」

 「わかった!みんなに伝えておくね。」

 そういうとトマスは再び会話の輪に戻っていった。

 「それじゃ行こうか。」

 私はデメトリオ様に手を引かれそのばを後にした。

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