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第五十話 秘密

「全く、最近の私の気持ちをわかってくださる?大切な親友はあられもない噂に塞ぎ込み放課後に話に教室に行っても帰宅している始末。私寂しくって仕方ありませんわ。だから今日は私にとことん付き合ってもらいます!まずはお城で私とお茶会ですわ〜!ユーシェン様、ごめんなさい。エレナ、お借りいたしますね。」

 「あぁ、エレナ嬢も存分に楽しんでくるといい。」

 ユーシェン様はにっこりと笑っていった。私に拒否権はないらしい。思えば確かにここ数日はみんなからの好奇の視線が苦痛で授業が終わるなりすぐに帰宅していた。クラスメイトともまともに話すこともなく、アイリスにも被害が及んだら嫌だと思い話すのを避けていた。まともに話す人といえば権力もあり他の生徒が無碍にできない存在であるユーシェン様のみ。サーラには寂しい思いをさせていた。

 「ごめんね、サーラ。」

 「今日一緒にお話ししてくれればそれで許しますわ。さぁ、ほら早く!」

 サーラに手を引かれるまま私は移動鏡へと向かった。


 「やあエレナ。うちの妹がすまないね。」

 王城に着くなり目の前にはサーラの兄でありこの国の第一王子であるダヴィデ殿下が待っていた。

 「ダヴィデ殿下、ご機嫌麗しゅう。」

 思わず挨拶をすると二人はくすくすと笑っていた。

 「僕たちはそんな堅苦しい挨拶をする間柄でもないだろう。最初のお茶会には僕も参加させてもらう。サーラもいいね?」

 「えぇ、構いせんわ。」

 殿下も一緒にお茶会に参加すると聞き私は今の格好を確認した。到底王族のお茶会に参加する格好ではない。今すぐ着替えたいくらいだ。しかし、二人は気にしていない様子のため私は大人しく二人に着いていく。

 二人はある扉の前で止まった。

 「ここは僕の私室でね。秘密が漏れることはない。さぁ、二人とも入ってくれ。」

 王子の私室に入るなんて畏れ多い。私が立ちすくんでいるとサーラが思い切り手を引っ張り私を無理やり部屋の中に入れた。

 「ちょっと、サーラ!私なんて身分の人が王子殿下の私室に入るなんて!」

 「お兄様も私も気にしてませんわ。」

 「私が気にしてるの!」

 そんな会話を温かいものを見るような目で見つめる王子殿下の瞳はとても優しかった。数分後にお茶と茶菓子が運ばれてきて部屋には私たち以外誰もいなくなった。

 「さて、本題に移ろうか。実は君が悪魔の子だという噂は王室にも届いている。僕もサーラも君たち一族が悪魔崇拝なんてしているなんて到底思えないんだけど確認して声明を出さないと他の貴族たちがうるさくてね。エレナは不快だと思うけど僕たちの質問に答えてほしい。」

 なるほど。半ば強引に連れてこられたのはこういう意図があったからこそなのか。そんなことにも気づかないなんて自分の頭の回らなさに嫌気がさす。

 「まず最初にキーニャ一族およびエレナ・キーニャは悪魔崇拝および自身の身に悪魔を宿してはいないね?」

 「はい、そんな事実ありません。」

 「実は調べている中で君が返信をしている姿を見たという生徒がいてね。その子から詳しく話を聞いたんだ。その子は最初は何かに怯えているかのようにずっと悪魔のようだったと言っていたんだけど根気強く説得したらこんなことを言っていたんだ。あれは悪魔というより神話の本に出てくるような竜の姿に似ていたと。」

 ドクンと心臓が嫌な音を立てた。隣には姿を見えないようにしているグローリーがいる。私はグローリーにそっと脳内で話しかけた。

 『これって話していいのかな?』

 『むしろここで姿を見せずしてお前の罪状はいつ晴れる?』

 『それもそうか。』

 『我とて王族が味方につくというのは心強いと思うが?これ以上家族に迷惑をかけたくないと願うのであれば先日の姿を見せるべきだ。』

 『あの時の姿になれるかな?』

 『なれるさ。願えばな。』

 「どうしたんだい?エレナ。」

 「もう!お兄様がいっぺんに話すからエレナが混乱してしまいましたわ!」

 私は一度用意された紅茶を飲みゆっくりと息を吸った。

 「お二人は私の証人になってくださいますか?」

 「もちろん。そのために自室に入れたんだ。」

 二人とも目を合わせ同時に頷いた。

 「わかりました。それではお見せします。私のもう一つの姿を。」

 願えばなれるか。私は胸元で手を結びそっと祈る。お願い、力を貸してと。

 すると周囲に溢れんばかりの光が私を包み込む。二人は驚いているようだったが私は気にせず祈り続けた。

 頭には角、額には宝玉、背中には翼、手足には鱗。それは紛れもなく先日と同じ姿だった。

 「これは・・・。確かに悪魔というより神話の本に出てくる竜のようだ。」

 「美しいですわ。こんなにも美しい姿を悪魔と騙る不届きものが学園にいるなんて。」

 「これが私のもう一つの姿です。」

 「確固たる証人が欲しいな。すまないが父上を呼んできても構わないだろうか?」

 王子殿下は私にそう聞いてきた。私とて今の状況が私の家族に害があることはわかっている。頷くと王子殿下は自らの足で王殿下を呼びに行った。

 「この美しい姿でエレナは悪き女神を打ち倒してくれたのね。」

 「そんなに綺麗?爬虫類みたいで気持ち悪くない?」

 「そんなことありませんわ。黄昏の竜のようで美しい。」

 数分後、王子殿下は王殿下を連れて部屋に戻ってきた。私の姿を見た王殿下は驚いた様子だったが私が悪魔の子であるという噂とキーニャ家の名誉回復に努めると言ってくださりとても心強かった。

 出番は終わりかと思い私は竜の姿を解除すると王子殿下とサーラは非常に残念がった。その後、三人でお茶を楽しんだ後、私とサーラは音質へと移動した。そこで久しぶりにサーラと噂話や美味しいケーキ屋さんなどの雑談に花を咲かせた。その晩は王城に泊まることになり王族の方々との晩餐に急遽参加することになったり、サーラの部屋で夜遅くまでおしゃべりをしたり。久しぶりに楽しい時間を過ごした。

 「ねぇ、エレナ。今日は楽しかった?」

 寝る直前、サーラが聞いてきた。

 「ここ数日で一番楽しかった。ありがとうサーラ。」

 私がそう言うとサーラは満足そうに目を閉じ寝息を立て始めた。私自身も眠気が襲ってきたためそのままサーラの横で眠りについた。

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