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第四十八話 創世祭

「今年もこの時期がやってきたか。」

 お父様は夕食を食べながらそんなことを言った。

 この時期、というのは創世祭のことだ。女神ヘラノーラたちがこの大地と作ったことを記念してこの国では毎年十一月に盛大なお祭りが開催される。実際に女神ヘラノーラと喋った感じだとあまり良い印象は今更持てないが祭りの雰囲気は好きだ。

 そして貴族の一大イベントでもある王室主催の舞踏会も同時に行われる。大陸中の貴族が王都に集まり一晩踊り明かすというものだ。実は我が家ではこの舞踏会に参加することはあまり良く思われていなかった。無座なら衣服の色を各貴族ごとに指定されているからだ。ちなみに我が家は茶色だ。パッとしないしお兄様たちの髪色に合わない。そういう事情もありこの時期のドレス選びは憂鬱だった。

 しかし今年はその法案がなくなったらしく好きな色の衣服で参加しても良いことになったらしい。これにはサーラが大きく関わっており父である王殿下に強く進言したらしい。王殿下もなんだかんだ娘には甘いためすんなり法案は無くなったそうだ。

 そういう事情もあり今年から我が家は各々似合う衣服で舞踏会に参加することができる。サーラには感謝しかない。

 「その舞踏会には俺も招待されてるんだ。」

 夕食の肉を食べながらユーシェン様が言った。そうでしょうね、という感想以外出てこない。

 「だから母国から正装を取り寄せたんだがこの国では浮いてしまいそうでな。今更ながら後悔している。」

 なるほど、そういうことか。我が国の王室が主催する舞踏会に招待されたから正装を着ようと思ったけどよくよく考えたらこの国の衣服と相性が悪いから着るのを少し躊躇っているということらしい。

 「別にいいんじゃない?ユーシェン様の母国の服なら堂々としていれば。」

 「そうだろうか。」

 「逆にそわそわしてた方が情けないよ。まぁ、そんな姿想像できないけど。」

 「ちょーっとお待ちくださいませ!」

 私とユーシェン様の会話を途中で止めたのはメリッサだった。彼女は十歳ながら自身の衣服のブランドをもち、王都の一等地に店も構えている小さな経営者だ。そんな我が妹が手を挙げたということは何かあるのだろう。

 「実は私ずっと考えていたことがありまして。ユーシェン様が自国の清掃を身につけるのなら私たちはユーシェン様の母国である凰皇国の記事を使ったドレスやタキシードを身につければ良いではないですか。ちょうど各人に似合う色合いの布とデザインは終わっているのであとは作るだけですわ。ユーシェン様が滞在されている我が家が凰皇国のものを身につければより一体感が出ると思いますの。」

 「メリッサ嬢はそんなことを考えていたのか。すごいな。」

 「今回のテーマは融合ですわ。全く違う文化をもつ二カ国の良い部分を存分に引き出しつつ流行りのポイントも抑える。全く、今回の作業は特に大変でした。」

疲れたような仕草をしながらメリッサは言った。それを聞いてお父様はニコニコと笑いながら拍手を送る。

「素晴らしいよメリッサ。さすが私たちの娘だ。舞踏会にはメリッサがデザインした衣服を着ていこう。皆異論はあるかい?」

お父様が問いかける。みんな特に異論はないらしくメリッサの案が採用となった。

「いやぁ、舞踏会が楽しみだね。」

あまり人前が得意でないお父様はメリッサのおかげか今回の舞踏会にはとても乗り気だ。めんどくさがり屋のお兄様も同じで「楽しみにしている」とまで言っている。舞踏会まで一ヶ月あるがどんなドレスが出来上がるのか私までワクワクしてきた。

「メリッサ嬢、気遣い感謝する。」

「気にしないでくださいまし。これはあくまでビジネスも兼ねていますので。」

やっぱりそうだったか。今回も私たちはメリッサのブランドの歩く広告塔として舞踏会に参加するらしい。

「メリッサは変わらないなー。ちょっとすごいと思ったのに。」

「まぁ、トマス。我が家は皆美形揃いですのよ。それを利用しないでどうするの?」

「美形?まぁ、僕はあんまり興味ないし全部メリッサに任せるよ。」

「もう!私の家族は自分の顔の良さに気づいていない人が多すぎますわ!」

「それは確かに言えてるな!」

 ユーシェン様の豪快な笑い声が食堂いっぱいに広がった。そして話題に取り残された私、お兄様、トマス、お父様はお互い顔を見合わせるしかなかった。

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