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第四十五話 嵐の終わり

 グローリーがリーシャの中から魂を取り出している間、暇を持て余していた私はユーシェン様とゼゼとい う男の戦いを見守っていた。

 早朝に起床し毎朝鍛錬を欠かさないユーシェン様はさすがとういうか相手を圧倒していた。繰り出されている技たちは確かカンフーといったはず。素早い連撃とユーシェン様のもつ柔軟性が合わさりまるで蛇のような、ある時は虎のようなそんな戦いだった。

 (あ、決着ついたな。)

 私は直感的にそう思った。その直後、手痛い一撃がゼゼに入り、相手はぴくりとも動かなくなった。

 ユーシェン様の額から流れる汗が眩しい。戦闘直後で息を切らしているその姿はこの場に私とグローリーしかいなくてよかったなと思うほど雄々しく同時に妖艶であった。

 相手が戦えないことを確認するとユーシェン様はこちらに向かって走ってきた。

 「エレナ嬢もやったようだな。ところでその御仁は?」

 ユーシェン様はグローリーの方を指差しながら問いかけてくる。

 「彼はグローリー。龍神族の王様だよ。」

 「龍神族?そんな一族がこの地にはいたのか?」

 「今はいないよ。はるか昔に女神ヘラノーラたちの手によって滅ぼされたからね。だから今の彼は幽体に近い何か。私もよくわかんない。」

 「そうか。そんなことより・・・。」

 ユーシェン様は聞きづらそうに私の全身を見る。

「どうかした?」

「エレナ嬢、その鱗と翼は一体どうしたんだ?まるでそこにいるグローリー殿の様じゃないか。」 

その時になって初めて私は自分の体をまじまじと見つめた。

手のひらに生えた髪と同じ色をした鱗、頑張って背中を見るとグローリーと同じ龍の翼が生えていた。

「なにこれー⁉︎」

「気づいてなかったのか⁉︎」

「なんだ騒がしい。終わったぞ。」

リーシャの件が片付いたグローリーに私は詰め寄る。

「ねぇ、なんで私グローリーと同じような見た目になってるの⁉︎これって戻る?一生このまま?どうにかしてよグローリー!」

「落ち着け。今元の姿に戻すから。」

そう言うなりグローリーは何かを唱え私の体は再び光に包まれた。光が収まる頃には私の手のひらから鱗は消え、翼も綺麗さっぱり無くなっていた。

「ユーシェンと言ったな。」

「あぁ。」

「今回のエレナの件は他言無用で頼む。ややこしいからな。」

「言われなくてもそのつもりだ。しかし、今回の戦いを誰かに見られてないと良いのだが。」

そう言うユーシェン様の顔には不安の色があった。確かに私が変身したところなんて他の誰かに見られていればなにを言われるかわからない。それどころか今後の学園生活さえも怪しくなってくる。

しかし、私たちの祈りも虚しく翌日からこんな噂が流れ始めた。

『エレナ・キーニャは悪魔の子』だと。

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