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第四十四話 ゼゼ

 エレナ嬢がリーシャと対峙したのを確認して俺は膳所と名乗る男の方を見る。一見ヒョロリとして見えるがかなりの猛者だということが勘でわかった。

 「ゼゼといったな。お前も魔法を使うのか?」

 「家、私は魔法は空っきしで。ですがその代わりこんなことができるんですよ。」

 ゼゼの姿が見えなくなる。すると俺の目の前に姿を現した。

 「ポアロン式武術形態と言いましてね。女神ヘラノーラ様のご子息である戦の神ポアロン様が作り上げた武術が得意なんです。」

 「こいつは驚いた。」

 一瞬で間合いを詰められたこともそうだが我が国でいうカンフーのようなものがこの国にもあるなんて知らなかった。己の無知を恥じる。しかし、これ以上自身の無知を恥じている暇もない。

 「もっと驚かせてあげましょう。」

 ゼゼはそう言うなり細長い足をこちらに向かって振り上げてきた。俺はそれを飛んでかわし、相手の後ろ側へと回る。背後から間合いを詰め足を薙ぎ払うように蹴りを入れるとゼゼの体勢が崩れた。隙ができたと畳み掛けようとすると相手は地面に寸前のところで手をつき逆に蹴りを入れてきた。予想外の攻撃に耐性を崩すもすぐに立て直す。格闘戦ではできるだけ地面に突っ伏している時間は短く済ませたい。

 「その復帰の速さ。さすがカンフーの達人に教えられていたと言うだけありますね。」

 「そりゃどーも。」

 「もっと私を楽しませてください。久しぶりですよ。こんなにも強いお方と出会えたのは。」

 そこからはお互いのどちらかが倒れるまで残された拳の打ち込み合い始まった。膳所の攻撃するスピードに追いつけない。防御だけではそのうち任されてしまう。どうしたものかと考えていると急に周囲が暖かな光に包まれた。ゼゼも俺も思わず目を瞑ってしまう。

 自然と視線は光の放たれた方へと向く。そこには見たことのないエレナの姿があった。

 腕は緋色の鱗でびっしりと覆われていて背中にはまるで龍を思わせるような姿だった。

 「龍神・・・。」

 そんな言葉が口から漏れた。

 「よそ見は禁物ですよ!」

 ゼゼの一言にハッと意識が戻る。手痛い一撃が腹部を襲った。そのまま叩きつけられるように地面に突っ伏してしまう。このままではまずい。カッコつけた以上負けるのは嫌だ。その気持ちだけで俺は再び立ち上がった。

 改めてゼゼの使う武術の特徴を考えてみる。基本的には数と力で相手を圧倒していくような戦術が特徴的だ。一方俺の使うカンフーは力だけでなく体幹や体の柔軟性を使い相手を翻弄する。

そうか、勝ちにこだわりすぎてそのことが頭からすっかり抜けていた。エレナの方はじきに方が着くだろう。なら今度はこちらの番だ。

「まだ動けるんですね。なんとしぶとい。」

 「しぶといのが取り柄なんだ。ほら、かかってこいよ。」

 「そんな満身創痍で挑発とは。では終わりにしましょうか。」

俺の挑発にまんまとゼゼはのってくれた。これはありがたい。

ゼゼは拳を振り上げてこちらに向かってくる。大丈夫、うまくやれる。

拳が顔の寸前まで届いたところで俺は体を浮かせそのままゼゼの顔面に蹴りを入れる。ゼゼの体勢が崩れた。一度地面に着地するもそのままゼゼの元に向かって走り込み渾身のパンチをゼゼの腹にお見舞いしてやった。ゼゼはそのまま吹き飛び壁にぶつかる。

「初心忘れるべからずってやつか。」

そう言いながらゼゼに近づき様子を確認すると完全に伸びているようだった。これでひとまず安心だ。エレナはどうしているだろうか。ふとそう思い彼女のいる方へと目をやると見知らぬ銀髪の男がリーシャに向かって何かをしていた。その様子をエレナは神妙な面持ちで見つめている。

とりあえず合流しよう。そう思い二人の元へと向かった。


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