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第四十話 嫌な予感

私が目を覚ますとエドお兄様は優雅に本を読んでいた。私はなぜかエドお兄様の膝の上に頭を預けている。

 「ごめん、私寝ちゃってた。」

 「それぐらい気にすんな。リラックスしたってことだろ?」

 「そうかも。」

 「ならいいんだよ。まぁ、こんなことエレナ以外には絶対にしないけどな。」

 「お兄様も?」

 「野郎に膝枕なんてこっちから願い下げだ。」

 私はゆっくりと起き上がりお茶を口にする。すっかり冷めてしまってはいるが美味しい。気づけば日はすっかり傾いていた。楽しい時間も終わりに近いらしい。

 「もう夕方か。随分寝ちゃったな。なんだか損した気分。」

 「そんなことはないさ。」

 「エドお兄様おすすめの本も読み終わってないし。」

 「それだったらその本貸すからさ。読み終わったら感想教えてくれよ。」

 「いいの?ありがとうエドお兄様。」

 そんなことを話しているとルバッフォ家の使用人がこちらに向かってくる。

 「お楽しみのところ大変申し訳ありません。キーニャ家から迎えの使者がいらっしゃっています。」

 「わかった。準備が出来次第すぐに向かう。」

 私はバスケットに自分の荷物をまとめるとスカートの裾についた葉っぱを払い立ち上がった。今日は本当に風が気持ちいい。

 「準備はできたか?」

 「うん。」

 「それじゃ転移室に行くか。」

 そう言ってエドお兄様は立ち上がった。私たちは転移室に向かう道中も昔話やら学園の話、家族の話をしながら向かった。

 転移室に着くとそこにいたのは使用人ではなくお兄様だった。思わぬ人物に少し驚いてしまう。

 「サミュエルじゃないか。」

 「よう、エド。うちの妹とのデートは楽しかったか?」

 「ちょっと、お兄様。」

 「あぁ、お前んちのお姫様とのデートはとっても楽しかったよ。」

 そう言いエドお兄様は私の肩を抱く。思わぬ行動に私は驚きで固まってしまった。

 「あはは、エレナ人形みたいだな。」

 「そんな固まらなくてもいいだろう。」

 「ごめん、びっくりして。」

 お兄様はポケットから懐中時計を取り出すと私の手をグッと引いた。

 「悪いなエド、時間だ。」

 「それは残念だな。エレナまた遊んでくれるか?」

 「私でよければ喜んで。それじゃ今日はありがとうエドお兄様。またね。」

 私の言葉を合図に転移装置が輝き出す。そうして私とお兄様は帰路についた。

 その日の夕食は私とエドお兄様のことでもちきりだった。特にメリッサが興味津々で聞いてくるので反応に困った。生暖かい目で見つめてくる家蔵から逃げるように自室に戻ると窓辺にグローリーが立っていた。

 「グローリー?珍しいね姿を表すなんて。」

 私が話しかけるとグローリーはこちらを向いた。

 「ルバッフォの家の者とのピクニックとやらは楽しかったか?」

 「楽しかったけど・・・。」

 「お前も我が娘と同じ星の元に生まれたのだな。」

 「どういうこと?」

 意味がわからず私が詰め寄るとグローリーがこう言った。

 「罪な女ということだ。」

 「意味わかんない。それよりも何か用事があるんでしょ?」

 「そうだったな。エレナ気をつけるんだ。嫌な予感がする。学園で必ず何かよくないことが起きる。気をつけるんだ。」

 「嫌な予感ね・・・。わかった。肝に銘じとく。」

 私がそう言うとグローリーは安心したように姿を変えベッドの隅で猫の姿で丸くなった。それを見つめつつ私はエドお兄様から借りた本を取り出しページをめくった。


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