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第二十六話 入学式前夜

 あっという間に時は流れ、明日はいよいよ学園の入学式だ。これからどんな出会いがあり、どんな出来事が起きて、何を学ぶのか。そう、考えただけでワクワクする。

しかし、お爺様の予言とビヤンコ、龍神グローリーに言われたことが頭をよぎる。二十まで生きられない。学園で起こる何かが原因で命を落とす可能性がある。その言葉がずっと棘のように胸に刺さって離れなかった。

 「自身が強くなる、信頼できる友を作る。」

 昔言われた言葉を一人で複勝する。

 二十まで生きられないと言われた時、私はお爺様に強くなりなさいというアドバイスをもらった。それからは剣術と魔法の稽古に励み、他の令嬢に比べたらかなり強いだろう。しかし、、私が対峙するのは人間なのだろうか。それとも悪魔?もしかしたら災害かもしれない。その時になって私の鍛え上げた能力は  本当に役に立つのだろうか不安になる。

 私は長生きしたい。できれば運と長く、人よりもずっと長生きしたい。そして世界を見てまわりたい。  これは密かな夢だ。誰にも話したことはない。夢を叶えるためにも私は学園で死ぬわけにはいかないのだ。

 明日は入学式だからいつもより早めにベッドに入ったが色々と考え込んでしまいなかなか寝付けない。何度も寝返りをうち、考え込んでいるのもバカらしくなってきた。こっそり部屋を抜けあして一人で魔法の特訓でもしようか、そんなことを考えているとコンコンと誰かが扉をノックした。

 「誰?」

 「私だよエレナ。少しはなしをしたくてね。」

 声の主はお父様だった。私はベッドから飛び起き、扉を開ける。目の前には二人分のティーカップとポットを持ったお父様が立っていた。

 「もしかしたら眠れていないのではと思ってね。ハーブティーを持ってきたんだ。よかったら一緒に飲まないかい?」

 「どうしてわかったの?お父様、部屋に入って。一緒にお茶を飲みましょう。」

 私が招き入れるとお父様は部屋に入り、テーブルの上にティーセットを並べていった。慣れた手つきでお茶を注ぎ、私に渡してくる。

 「お父様、お茶を入れの慣れてるのね。」

 「昔はよくエリーザと一緒に夜はハーブティーを楽しんでいたんだ。その時に彼女に教えてもらったんだよ。」

 「お母様が。」

 なんとなく、夫婦の寝室で二人で夜のお茶会を楽しむ様子が想像できた。隣に座り、お茶を飲みながらたわいのない話をする二人。そしてどちらかが眠く慣ればベッドへといき眠りにつく。暖かで私の理想とする夫婦像そのままだ。

 「明日はに入学式だね。サミュエルの時も思ったが子供の成長というのはあっという間だね。あんなに小さかったエレナももうそんな歳になったのかと思うと感慨深い。」

 優雅にお茶を飲みながらお父様は言った。おそらく、超未熟児で生まれてきたあの時の私を思い浮かべているのだろう。

 「エレナは浮かない顔をしているね。お爺様の言葉が気になるのかい?」

 お父様に隠し事はできないらしい。私は顔を上げてポツポツと不安に思うことを話し始めた。

 「そうなの。私は二十まで生きられない。もし何か私が死ぬ要因があるとすれば学園かなって思うと不安で。お父様、私死にたくない。誰よりもうんと長生きしたいの。」

 「それは不安に思っても仕方がない。でも、エレナは努力してきた。力をつけ、信頼できる友人もいる。きっと、何か困った時が来ても今までの努力がエレナを助けてくれるはずだ。」

 お父様が少しゴツゴツした手を私の頭の上に載せた。

 「お前は私とエリーザの間に生まれた奇跡の子供だ。何かあればお父様が全力で守る。お前は家族の皆に愛されている。それを忘れないでほしい。」

 「うん。ありがとう、お父様。私、お父様たちの子供に生まれてよかった。」

 「私もエレナがどんなに特異な子でも私たちの元にやってきてくれて本当に良かったと思っているよ。」

 ハーブティーを一口飲む。カモミールと何かをブレンドしたらしいお茶は一口飲むだけで胸がホッとした。

 「あまり夜更かしはよくない。今夜はそれを飲んでゆっくり休みなさい。もしそれでも眠れなかったら私の部屋にくるといい。」

 そう言うとお父様は立ち上がった。

 「おやすみ、エレナ。私とエリーザの間に生まれた愛おしい子。良い夢を見るんだよ。」

 「おやすみなさいお父様。」

 お父様は部屋から出ていった。一人残された私はお茶の香りのおかげでゆったりとした眠気が身体中に広がり始めていた。お茶を飲みきり、ベッドに潜り込むとあっという間に眠気が訪れて意識がだんだんと遠くなっていった。

 夢と現実の狭間、懐かしい声で「おめでとう」と言う声が聞こえた気がした。


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