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第二十一話 まぁ、いますよね皇子様

 剣術の自主練後、自室に戻った私はすぐに浴室へと放り込まれた。メイドたちの手によりあそと変わりない化粧、整えられた髪、シンプルながら高級感のある深緑のドレスを身に纏い、私とマーシャは食堂へと向かった。

 「全く、急に剣術の稽古をすルト言って飛び出してしまうなんて!予定にないことをしないで頂きたいと何度言ったらわかるのですか。」

 今朝の行動についてマーシャはまだお怒りの様子だ。それも仕方ないだろう。私の軽率な行動のせいでメイドたちの予定も一気に崩れたのだから。毎回申し訳ないという気持ちは湧いて出るものの、いざその時になると気付けば体が動いてしまう。私の悪い癖だ。

 「ごめんってマーシャ。あなたたちに迷惑をかけてしまって。」

 「全くですよ!まさかこんなにもお転婆に育つなんてエリーザ様もわからなかったでしょうね。」

 「それはそうだね。」

 二人で話しながら廊下を歩いていると前方からユーシェン様とその従者であるリーハン様が歩いてくるのが見えた。マーシャと共に立ち止まりお辞儀をする。

 「ご機嫌よう、ユーシェン様。昨晩はよく眠れましたか?」

 我ながら完璧な擬態である。瞬時に令嬢らしさが出せるというのはもはや特技と言っても良いのではないだろうか?

 「エレナ嬢ではないか。ここのベッドは最高だな!ふかふかとしていて思わず飛び跳ねたくなってしまったよ。お陰様でゆっくり眠ることができた。」

 「それは良かったです。まだ、この国に来たばかりなのできちんとお休みができているのかどうか少し心配だったんです。ユーシェン様もこれからお昼ですか?」

 私が問いかけるとユーシェン様はむすっとした顔をしている。なぜ、そんな顔をされるのか。まさか、私がわからないだけで不敬を働いてしまったのだろうか。そんなことしていたら国交問題に関わってしまう。急に先ほどまでの言動が不安になり手が震える。

 「あの、ユーシェン様どうかされましたか?」

 「敬語。」

 「はい?」

 「昨晩敬語はなしと言ったはずだ。」

 そういえばそんな話もあったなと思い出す。昨晩は色々とありすぎて脳がパンクしそうだった。忘れていても仕方がない。

 「そうでした・・・だったね。ごめん、忘れてた。」

 私がそう言うとユーシェン様は満足げな顔をした。

 「エレナ嬢も食堂に向かうのだろう?」

 「うん、そうだよ。」

 「俺もなんだ。よければ一緒に行かないか?」

 なんというお誘い!しかし、彼と廊下で鉢合わせた時点でこうなることはなんとなく予想がついていた。諦めて私はユーシェン様とリーハン様と共に食堂へと向かう。

 ユーシェン様は様々な話題を振ってきて、私から何かを話す必要がないというのはありがたかった。私と話していて何がそんなに楽しいのかユーシェン様は終始ニコニコと笑っていた。

 食堂に着くとお父様や他の兄弟たちは驚いている様子だったがユーシェン様はそんなこと気にもせず、用意された席に座った。私も続いていつもの席に座る。

 「それじゃ、昼食にしよう。」

 お父様の言葉を合図に各々食事を始めた。その間、トマスとメリッサはユーシェン様に絶えず質問を続け、ユーシェン様も快く質問に答えてくれた。私たちはその様子を眺めながら食事を続けた。


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