第十七話 夕食会の終わり
サーラとのおしゃべり以外特に楽しいこともなかった夕食会も終わりを迎えようとしていた。お父様が終わりの挨拶をしてゲストたちは皆帰宅していく。最後のゲストを見送った後、私含むみんなが安堵のため息を吐いた。
「やり遂げたぞう・・・。もう寝たい。」
珍しく弱気な様子のお父様を横目にメリッサは何かを考えている様子だった。四人兄弟の中でも一番しっかりしているメリッサのことだきっと今回の夕食会の反省点を頭の中でまとめているのだろう。
ヨボヨボと歩き出したお父様の姿がなんだか面白くって、私たち兄弟は顔を見合わせて大きな声で笑った。
「お父様お疲れ様!」
「今日のお父様はいつもよりもすこーしだけカッコよかったですわ。」
「いや〜本当に家族の集大成みたいな夕食会だったよ。」
「お父様ってやっぱりすごい!」
皆口々にそう言いながらお父様に抱きついた。四人分の体重が一気に乗っかったせいでお父様は体制を崩しそうになる。それをお兄様が華麗に受け止め、私たちは笑い合った。そこには緊張の糸が解けたいつもの家族の姿があった。
「ありがとうお前たち。」
お父様はそう言い、順番に兄弟の頭を撫でる。
「お前たちは先に部屋に戻って休んでいなさい。お父様はユーシェン様のところに行くから。」
「それなら僕も着いていくよ。一応次期当主だしね。」
「それじゃ、私はおチビちゃんたちを部屋に送ろうかな。」
「まぁ!私達はもうおチビちゃんじゃありませんわ!ねぇ、トマスもそう思うでしょう?」
「そうだね。僕たちはもう立派な紳士淑女だよお姉さま。」
「私の中ではメリッサもトマスもずーっと可愛いおチビちゃんなの!ほら、早く部屋に戻りましょう。それじゃおやすみなさいお父様、お兄様。」
「おますみなさい!」
「お先に失礼しますわ。」
私はメリッサとトマスを連れてその場から離れた。大広間といつも過ごしている屋敷までは少しだけ距離がある。二人の歩幅に合わせて歩いているとメリッサが目を擦り、眠そうにあくびをした。
「メリッサ眠いの?」
「少しだけ疲れちゃった・・・。」
「ほら、抱っこしてあげるからおいで。」
「んー。」
よっぽど眠かったらしくメリッサは素直に私に抱かれた。さすがに十歳ともなると体は随分と大きくなって体重も重くなる。昔はあんなに軽かったのに、と可愛い妹の成長に寂しさを感じた。
「トマスは頑張れそう?」
「お姉さま、僕はメリッサと違って普段から鍛えてるから部屋までは持つと思うよ。・・・でも羨ましいな。ねぇねぇお姉さま、今度僕も抱っこして?」
「それくらいお安い御用よ。」
「やったあ!」
甘えん坊の弟妹たちに癒されつつも私の体は限界を迎えようとしていた。無駄に装飾の多いドレス、慣れないヒール、パーティで疲れ切った体。どうにか根性だけで乗り切らなければならない。
使用人を頼ってもいいんだろうけど皆後片付けで忙しそうなため頼もうにも頼みずらい。それに姉としてのプライドもある。
なんとか双子の部屋までつき、二人をベッドまで送る。やっと私も部屋に帰れる。早くこの重苦しいドレスを脱いで楽になりたい。
部屋に着くとメイドに頼んで速攻でドレスを脱ぎ、装飾品を外し、お風呂に直行したのちベッドに素早く潜り込んだ。
「あー足が痛い。」
慣れないヒールのせいで足はパンパン、おまけに靴擦れもできていた。慣れないことはするものじゃないなと考えていると自然と眠気がやってくる。私は微睡に任せてそのまま眠りについた。




