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第十三話 派手さがなくちゃダメですか?

 あっという間に時間はすぎ、時刻は十九時になろうとしていた。私は、今日開催される夕食会に出席するためにいつも以上に派手なドレスとアクセサリーを身につけ、鏡台の前に座りメイドたちに化粧をされていた。

 「やっぱりさ、これって派手すぎない?」

 私が首元にぶら下がる大きなエメラルドが使われたネックレスを指差すとメイドたちは揃ってため息を吐く。

 「エレナ様は装飾がいつも少なすぎです。いつもシンプルなお召し物を身につけられている分、今日のように国王や他国の皇子。、それに四大公爵家の皆様が出席される夜会はいつも以上に着飾らなければキーニャ家の威光にも関わります。ですので今日だけはアマンしてください。さぁ、あとは口紅を塗るだけですよ。」

 そう言いながらマーシャは間ピンク色の口紅を私にさした。

 目の前にいる人物が誰なのか私にもわからない。これは本当に私なのだろうか?と思ってしまう。

 髪は編み上げられ、ハーフアップにされている。頭部のアクセサリーのはお兄様からのプレゼントである緑色のリボンが結ばれていた。

 ドレスはいつも身につけている無地のものではなく、胸元には大きなリボンとメリッサとトマスからのプレゼントであるブローチが輝いている。ネックレスはお母様の遺品らしく、双子がくれたブローチと色がピッタリ合っていた。オフショルダーのドレスは妙にスースーして気持ちが悪い。

 淡い緑をベースにところどころに桃色の造花があしらわれたこのドレスは相当値が張ったことだろう。

 化粧もいつもより鮮やかでドレスの造花に合わせてか薄いピンク色をベースにされたメイクはどこか儚げで触れたら消えてしまいそうな雰囲気を纏っていた。普段私がシンプルなものをと頼むせいで知らなかったがうちのメイドたちの化粧や衣装選び、髪型のアレンジ方法など乗った技術はかなり高いに違いない。

 「これって本当に私?」

 「エレナ様はお母様に似てとても整ったお顔立ちをされています。それを化粧で縁取ればより美しくなるのですよ。こうしていると昔を思い出します。こうして派手じゃないかとか言われながエリーザ様のお化粧をしたものです。」

 「その話もっと聞きたいな。」

 私がそう言ったのと同時に使用人が部屋に入ってきて夜会の時間だと伝えてきた。

 「ねぇ、マーシャ。本当に変じゃない?」

 「変なんてとんでもない!とても美しいですよ。それでは行ってらっしゃいませ。」

 マーシャを含むメイドたちが深くお辞儀をし、扉は閉められた。私は使用人でお父様の助手も務めるイビアの後ろをついていく形で廊下を進んでいく。滅多に使わない大広間の扉の前ではすでに家族みんなが揃っていた。

 「ごめんなさい、遅くなっちゃった。」

 「お姉さますごい!可愛い!お花の妖精さんみたい!」

 最初に口を開いたのはトマスだった。抱きついてきそうな勢いだったが、それをお兄様が静止する。

 「トマス、着飾ったレディに抱きつこうとするのは紳士的じゃないよ。エレナ、今日は一段と綺麗だね。僕たちがあげた誕生日プレゼントをつけてくれて嬉しいよ。」

 「お兄様も一段とハンサムね。あ、胸のタイが曲がっているわ。」

 「そういうことは使用人にやらせればいい。エレナ、お父様にももっと姿を見せておくれ。・・・あぁ、そのネックレスは私が初めてエリーザに贈ったものじゃないか。懐かしいな。こんなに美しく育って。」

 「美しいレディはお姉様だけじゃありませんわ!私だって今日は一段とおめかしをしたのですのよ!」

 得意げにその場でターンするレベッカはまるでお菓子の妖精さんのようだった。ふわふわのパニエにふわふわの髪。食べてしまいたいくらい可愛い。

 そんなことを話していると控えめにイビアが会話に入ってきた。

 「あの、みなさん。会話を楽しまれるのは結構ですがそろそろ入場のお時間です。」

 「もうそんな時間か。さて、子供達よ。今日はそんなに緊張しなくてもいい。何かあれば必ずお父様がフォローする。せっかくの我が家主催の大きな夕食会という名のパーティだ。思う存分楽しみなさい。さぁ、扉を開けてくれ。」

 お父様の言葉を合図に重たい扉が開かれる。

 「キーニャ家一同ご入場です!」

 煌びやかな光とたくさんの人の視線、思わず後退りしてしまいそうになるが私には頼りになる家族がいる。

 胸元のネックレスに少し触れて私は一歩踏み出した。

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