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第十一話 本当に皇子がやってくる?

 皇子の滞在先が我が家になると決まってから今まで見たことがないほど我が家は忙しくなった。

 まず、部屋の確保と掃除に身辺に必要な生活必需品の準備と選別が行われた。相手は一国の皇子だ。当然安物ばかりの部屋で出迎えるわけにはいかない。私はサーラと仲が良いということもあり、王室への援助申請などを行った。

 また、さすがこちらも一国の王子というだけありダヴィデ様にも装飾品や家具選びなどかなり手伝ってもらった。まぁ、国の印象が我が家にかかっているといったら手伝うのも無理はないのかもしれないが・・・。

 他にも使用人の教育として簡単な凰皇国での礼儀作法や言語の教育も行った。これは私も勉強になるところがたくさんあり、とても充実した時間だった。

 そして無情にも時間は過ぎていき、あっという間にユーシェン様が我が家にやってくる日になった。

 「本当に皇子様来るのかな?」

 「やめてくれトマス。もしそうだとしたらこの二ヶ月の我々の努力は全部水の泡になるんだから・・・。」

 げっそりとした顔でお父様は言った。ここ数日の忙しさには目が回りそうだった。春休みに入ったお兄様がいなければきっと我が家の色々な部分が破綻していたことだろう。

 「皇子が来る準備だけでも疲れたのにこれから毎日他国の皇子と一緒とか休める気がしないな〜。あー僕の春休みってどこにいったんだろう?」

 「私が別荘まで行って探してこようか?」

 「それお兄様もついて行っちゃダメ?」

 「もうお兄様がいないとうちの領地運営は終わりだよ。」

 そう言いながらお兄様の肩にそっと手を置く。こんな状況下でも軽く血を叩き合う私たちの様子を呆れたような顔でメリッサは見つめていた。

 「お兄様たちは軽口を叩き合わないと死んでしまう体質ですの?決定事項は覆せない。今更現実逃避したってもう遅いですわ。できることは全部したのだから私達は堂々と構えていれば良いのですよ。」

 フンっと鼻を鳴らしながらそう言うメリッサの姿はここにいる誰よりも勇ましい。メリッサのこの姿勢には学ところがある。

 お兄様と二人で感心しているとうちに仕える典韋魔術師がお父様に言った。

 「まもなくシュ・ユーシェン様が転移魔法にてこちらに参ります。」

 「わかった。」

 室内に緊張が走る。これから起こる日常に、ユーシェン様はどういった人なのかと言うことに、これから皇子と暮らすことになる日々に皆想いを寄せるなか、無情にも転移魔法で使用される魔法陣が黄色く輝き出した。

 凰皇国の皇子シュ・ユーシェン様が到着したらしい。

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