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第九話 隠された歴史

 誕生日の翌日、珍しく夜更かしをしたせいで重い体を置き上げると私のお赤の上に白猫のビアンコが乗っかっていた。

 その様子だけを見れば飼い猫の可愛らしい悪戯のように見えるがこの猫の本当の正体は龍神の王グローリーである。流石に人前でグローリーなんて呼べるはずがないためビヤンコと名前をつけた。こんな風に行動を起こしてくると言うことは何か話があるのだろう。

 「グローリー、何か話があるの?」

 私が眠気まなこで問いかけると辺りは光に包まれ、目の前には白銀と髪と瞳をした美しい男性が立っていた。

 「察しがいいな。」

 「あなたが猫の姿以外でで何かをする時は不満があるか重要な話がある時だって知ってるからね。それで?今日はなんのお話?」

 「お主、先日の誕生日会で祖父に運命の色が変わったと言われなかったか?」

 突然の問いに驚く。

 お爺様とグローリー曰く、運命には色があるらしく色の種類や絵の具のように混ざりあったりする様子を見てどのような未来が待っているのか予測できるらしい。しかし、昨日お爺様と会った時はそんなこと一言も言われなかった。

 「言われてないけど。」

 「うむ。少してを貸せ。」

 グローリーに言われた通りにてを貸すとグローリーはお爺様と同じように何かをぶつぶつと唱える。お爺様が未来を見る時と違い、私たちの周りには藍色の渦が巻き付くように渦巻いている。そして、数分間何かを唱え続けたグローリーは私のてを離した。

 「お前の未来を少し深くまでみた。・・・少しだけだがエレナが命を落とすきっかけが見えた。」

 「え、何それ早く教えて。」

 「学園だ。」

 「学園?どうして。」

 「それは我にもわからぬ。ただ、学園で何かしらの出来事が起きてお前はそれに巻き込まれる。そして生きるか死ぬか選択肢が出てくる。」

 「それを間違えたら・・・。」

 「確実に死ぬ。」

 思わず自分の首元に手を添えてしまう。選択肢を間違えたら確実に死ぬ。これほど恐ろしいことがあるだろうか。

 「ねぇ、グローリーどうすればいい?私、死にたくない。」

 私の問いかけにグローリーはこう返した。

 「信頼できる友を作れ。そして強くなるのだ。知識も身につけ、心も丈夫になるとなお良い。・・・知識を深めるついでに一つ昔話をしよう。」

 「昔話?」

 「これは隠された歴史、知られてはならぬ神々の恥。しかし、お前にはそれを知る権利がある。なんせ、我が娘ミネルヴァの魂がその体に宿っているのだから。始まりは人が生まれた時から、そもそも人間なんぞ神々が作り出したのではない。始めからこの大地に人はいた。そして人々の願いから妖精が生まれ、そして神が生まれた。」

 グローリーはどこか遠くを眺めるようにポツリポツリと話し始めた。自分自身のルーツ、そしてこの国の正しいの成り立ちについて。

 「大地が人間を作り出した頃、この土地はとても過酷な地だった。人間達は生きるのが精一杯。そこで祈った。自分らを助けてくれる存在が作り出されることを。その結果まずは妖精が生まれた。妖精は人々の願いを聞き入れ大地を緑豊かにした。しかし、それだけでは足りなかった。人間と妖精は再度祈った。そして最古の神である我龍神グローリーが生まれた。そこからさらに神は増えた。我が妻で豊穣の女神リッシェル。その間に生まれた狩猟の女神ミネルヴァ。そして、その頃だ。争いが起き始めたのは。」

 「争い?」

 「そうだ。我らを信仰していたナボトゥの一族は危機を感じて戦いの神龍神ヴィーヴルを作り出した。神は祈りによって生まれる。そしてともに神話もできていった。まさか人間達も自分らの祈りで神が作り出されたなんて想像もしていなかっただろう。」

 そう言うとグローリーはケラケラと笑った。こんな風に笑う人だったのかと内心驚いてしまう。その時代が彼にとって幸せだったということがなんとなくわかった。

 「ある日宣教師を名乗るものがナボトゥの集落にやってきた。そしてそいつらが信仰する神ヘラノーラを信仰しろと強要したんだ。ナボトゥのものたちは当然断った。人間には見えていなかっただろうが我々神にはしっかり見えた。宣教師達の後ろで集落を焼き払おうとする醜い神の姿が。」

 「それってもしかして・・・。」

 「あぁ、ヘアノーラとその夫のユピウスのことだ。まさか最高神が直々にやってくるとは思わなかった我達は急いで奴らの攻撃を止めた。するとあいつらは怒り、攻撃はさらに激しくなっていった。そこで我が友であり戰の神であったヴィーヴルが殺された。それを好奇と見たのかナボトゥの集落は焼かれ、我妻と娘も同じように殺された。最後に残った我はヘラノーラの顔に一撃を与えることはできたが最後は殺されてしまった。幽体となった我はその後を見守ることしかできなかった。」

 グローリーは悔しそうに顔を顰める。グローリーにとっては辛い過去だろう。家族が、仲間が殺されそして自分が守ってきた集落は焼かれてしまった。

 この話が真実なら女神ヘラノーラたちはとんでもない神様ということになる。

 「そのあとは語られているものと大差ない。生き残ったナボトゥのものたちは深い森の奥に姿を消した。そしてヘラノーラーは龍神の中で一番体が大きかったヴィーヴルの死体をだちとして自分たちを祀る国を作った。それが今のドラティーネ王国だ。ちなみに今お前が住んでいる辺境の地はヴィーヴルのしたいの上ではなく最初からあった大地だ。」

 「そうだったんだ・・・。ヘラノーラって思ってたよりも嫌な奴だったんだね。」

 「嫌なやつだぞ。妻子がある身とわかっていながらこの我を口説こうとするわ断れば目の前で二人を殺すわ。全く、とんでもない神を作った一族がいたようだな。さて、昔話はこれくらいにしよう。もう少しすればお前の専属侍女がやってくるはずだ。今の話を聞いてお前がどうするかは我にはわからない。しかし、覚えていて欲しいのは皆がお前にはうんと長生きしてほしいと思っていると言うことだ。それではな。」

 言いたいことだけ言い終わるとグローリーは白猫ビヤンコの姿に戻ってしまった。本当の神話、願いから生まれた神々。スケールが大きすぎてイマイチ想像ができない部分が多いが大事なことを知れた気がする。

 コンコンと扉をノックする音が聞こえた。グローリーの言う通りマーシャが私の部屋にやってきたらしい。

 「もう起きてるよ〜。」

 そう言いながら私はベッドから起き上がり、カーテンを開けた。

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