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プロローグ

龍神の生まれ変わりであるエレナは幼少期からその魔力の多さから体調を崩しがちで思うように過ごせない日々を送っていた。そんな中、最愛の母親が亡くなり葬儀に参加した初めて会う祖父からお前は20までしか生きられないと言われて!?どうしても自由に長生きしたいエレナの孤軍奮闘物語!


※注意※

この作品はカクヨム様との重複投稿になっています。

 私は一度死んでいる。

 生まれてすぐ、とても小さく生まれた私はこの世に生を受けてすぐにお母様と共に生死の境を彷徨った。数日が経ち、医者であったソフィア叔母様の懸命な治療の甲斐があり、お母様は一命を取り留めた。

 しかし、私は違った。

 お母様の容態が安定してすぐに心臓が止まり、死んだのだ。このことをお母様とお父様、そして私をとりあげてくれたソフィア叔母様はひどく悲しんだ。どうしてこの子がとこんな具合に。

 そんな時、奇跡が起きた。

 皆が悲嘆に暮れる中、真夜中だというのに部屋中が眩い白銀の光に包まれた。思わず目を瞑り、次に目を開けた時部屋には見知らぬ男が立ってた。

 背丈が高く白銀の髪と瞳をしていたという男は明らかに人ではないということが一目でわかったらしい。

 「何者だ!」

 お父様が勇ましくそう聞くと白銀の男はこう言った。

 「我が名はグローリー。古き神話にて語られし龍神だ。」

 その名前を聞いてお母様とソフィア叔母様はハッとした顔をしてお互いの顔を見合った後、その場に跪いた。状況が掴めないお父様はオロオロとしながら二人に習ってその場に同じように跪く。

 「お主たちはナボトゥの一族のものか。」

 男がお母様とソフィア叔母様に問いかける。

 「左様でございます。我らはナボトゥの一族、古き神の墓守でございます。

 ソフィア叔母様がそう言うと男は「なるほど」と一言呟いた。少し何かを考える素振りを見せたのち、男は口を開く。

 「此度は我が娘がすまないことをした。」

 「何も悪いことはされていないと思いますが。・・・もし、この子のことを言っているのであればそういう運命だった。ただ、それだけです。」

 「いや、違うのだ。この赤ん坊の体には我が娘ミネルヴァの魂が入っている。そのせいで体が耐えきれず、心臓が止まったのだろう。」

 「私たちの娘がミネルヴァ様の生まれ変わりということでございますか?」 

 「左様。全く、あの娘ときたら見合った器を見つけたと思ったらすぐに入り込みおって。我はその尻拭いをしにきたのだ。このままこの娘が死ぬのは我とて後味が悪い。」

 男、もといグローリーは赤ん坊の私に近づいて胸に手を置いた。そして何かをぶつぶつ呟くと部屋は再び白銀の光に包まれ、次に目を開けた時にはグローリーの姿はなく、代わりに似たような白色の毛皮の猫が赤ん坊の横で目を瞑っていた。

 ソフィア叔母様は急いで私の胸に聴診器を当てる。確かに止まっていたはずの心臓はトクントクンと小さな鼓動を打っていた。

 「奇跡だわ。・・・グローリー様が奇跡を授けてくれたわ。」

 その声は涙で震えていた。それを聞いてお父様とお母様も私の元に近づき、胸に手を当てる。小さな鼓動が確かにそこにはあった。

 「もう一度この子の温もりを感じることが出来るなんて。」

 「あぁ、そうだなエリーザ。暖かい、暖かいな。」

 二人は泣きながら私を抱き上げ、しきりに良かった、温かいと繰り返す。その傍でソフィア叔母様は何かを考えていた。

 「ねぇ、二人とも。グローリー様はこの子は龍神ミネルヴァ様の生まれ変わりだと言っていたわ。・・・私、さっき奇跡が起きたと言ったけどもしかしたら違うかもしれない。グローリー様は親として娘がしでかしたことの後始末をしただけなんじゃないかしらって・・・聞いてないわね。このことは後日話すことにしましょう。」

 ソフィア叔母様の言葉を肯定するように白猫はにゃーと鳴いた。

 ・・・なんで自分が死んだ時のことについてこんなに詳しいのかって?そんなの簡単な話。魂だけになった私は部屋の天井からずっと三人の様子を見ていたから。

このことは私と今も隣にいる白猫、グローリーもといビヤンコだけの秘密。だって、こんなこと話しても他の人は信じてくれないからね!

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