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四次元人の挑戦  作者: しろ組
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七、八〇年を越えた願い

七、八〇年を越えた願い


 ピュア・フージェ達は、裂け目を潜り抜けて、モノクロの焼け野原の写真パネルの前へ、辿り着いた。

「こ、ここは?」と、ピュア・フージェは、目を見張った。状況が、理解出来ないからだ。

「カリン軍の人工衛星落としの写真か!」と、プラモ戦士が、吐き捨てるように言った。

「草木も、残らないくらいに焼き尽くされているとは、プロフェッサー・ユーの仕業かも知れんな」と、巨頭の超黄金も、考えを語った。

 そこへ、「君達、それは、人工衛星落としやプロフェッサー何とかの仕業じゃないよ…」と、か細い声が、否定した。

「だ、誰!?」と、ピュア・フージェは、身構えた。そして、周囲を見回した。しかし、(いびつ)(ただ)れたガラス(びん)(かわら)や薬缶と、黒焦げとなった丸い物以外は、見当たらなかった。

「フージェ…だよね…」と、か細い声が、尋ねた。

「え?」と、ピュア・フージェは、息を飲んだ。自分の名前を知っている者が居るとは、思って居なかったからだ。そして、「私の名前を知っているのは、ゲロッピー様と魔王くらいよ!」と、語気を荒らげた。気後れする訳にはいかないからだ。

「いよいよ、巨大な敵に、正義の怒りをぶつける時が来たか!」と、プラモ戦士が、意気込んだ。

「どこからでも掛かって来い! 私が、弾き返してやる!」と、巨頭の超黄金も、怒鳴った。

「ここに、君達の言う奴は、居ないよ…。勿論、魔王もね…」と、謎の声が、否定した。

「でも、どうして、私達の名前を知っいるの? 名乗りなさいよ!」と、ピュア・フージェは、腰に手の甲を当てながら、要請した。他に、心当たりが、無いからだ。

「僕は、ファンキーって言えば、判るかな…?」と、謎の声が、消え入りそうに告げた。

 その瞬間、「パ、パンキー…?」と、ピュア・フージェは、愕然となった。先刻(さっき)居た世界に、また出て来たからだ。そして、「こ、これは、どういう事なの!」と、狼狽した。何が起こったのが、理解出来ないからだ。

「八〇年前に、君達と別れてから、僕は、富士枝ちゃんという女の子の友達になったんだ。そして、数カ月後のある朝に、メリケン軍の落とした“燃子(ねんし)爆弾”で、やられちゃったんだよ」と、ファンキーが、事情を述べた。

「この焼け野原は、ば、爆弾一発で…」と、プラモ戦士が、言葉を詰まらせた。

「私でも、どうなる事か…」と、巨頭の超黄金も、弱気になった。

「そうね。魔王の前に、こんな爆弾をやっつけなければならないわね!」と、ピュア・フージェも、気丈に振る舞った。

「数年前に、ここを通った一団が、口にしていたのだが、“燃爆”を使用すると喚いている奴が居るそうだ。僕は、富士枝ちゃんみたいな目に遭う子は、居ちゃあいけないんだ。フージェ、そいつこそ、魔王かも知れないよ…。お願いだ…。魔王を倒してくれ…」と、ファンキーが、蚊の鳴くような声で、語った。そして、「最期に、君達に会えて良かったよ…」と、告げた。

 その直後、黒焦げの球体が、崩れた。

「パンキー。魔王を必ず倒して来るわね…」と、ピュア・フージェは、崩れた炭の塊を見つめながら、口にした。パンキーの無念を晴らしてやろうと思ったからだ。

 そこへ、ピュア・フージェ、一度、戻って来てくれ」と、ゲロッピーが、要請した。

「分かりましたわ」と、ピュア・フージェも、承諾した。そして、「さよなら、パンキー」と、告げた。

 間も無く、一同は、次元の裂け目へ、向かうのだった。

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