表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四次元人の挑戦  作者: しろ組
6/8

六、蛸顔のぬいぐるみ

六、蛸顔のぬいぐるみ


 ピュア・フージェ達は、プラモ戦士の頭を

見付けた後、次元の裂け目を通り抜けた。そして、材質が、プラッチックや超黄金よりも安い造りのマネキン人形の部屋へ出た。

「巨大な敵だらけだ! 気を付けろ!」と、プラモ戦士が、身構えた。

「巨頭の城の私よりも、大きな者達が居るとは…」と、巨頭の超黄金も、愕然となった。

「ここには、魔王なんて居ないよ」と、何処からともなく声がした。

「だ、誰?」と、ピュア・フージェは、周囲を見回した。

「ここだよ」と、蛸顔に、兎の耳を付けたぬいぐるみが、奥のマネキン人形の足下から現れた。

「また、別の場所に…」と、ピュア・フージェは、地団駄を踏んだ。腹立たしいからだ。

 その直後、サイレンが、鳴り響いた。

「な、なんだ? カリン軍の襲来か!」と、プラモ戦士が、身構えた。

「いつもの事だよ。ここに、敵は来て居ないよ」と、蛸うさのぬいぐるみが、淡々と言った。

「まるで、隣国のミサイルみたいなものね」と、ピュア・フージェは、口にした。隣国のミサイルが、発射される度に鳴って居たからだ。

「何もしないという事は、何かを企んでいるのかも知れんな…」と、巨頭の超黄金が、意味深長に、言った。

「つ、つまり、何かを落とす気かっ!」と、プラモ戦士が、言葉を詰まらせた。

「そ、そうかも知れんな」と、巨頭の超黄金も、同調した。

 そこへ、「ピュア・フージェ」と、ゲロッピーが、呼び掛けて来た。

「ゲロッピー様、どうなさいましたか?」と、ピュア・フージェは、返答した。そして、「ゲロッピー様が、直々(じきじき)に連絡を下さるという事は、魔王の近くまで来ているって事ですか?」と、尋ねた。ゲロッピーからの連絡が、引っ掛かったからだ。

「うむ。だが、今居る世界は、救えん。この裂け目を作った兵器により、滅ぼされるのだからな」と、ゲロッピーが、理由を述べた。

 その瞬間、「え…!」と、ピュア・フージェは、言葉を失った。まさかの告白だからだ。

「何を驚いているんだい?」と、蛸うさのぬいぐるみが、小首を傾いだ。

「ゲロッピー様が、この場所が、滅ぼされるって…」と、ピュア・フージェは、冴えない表情で、回答した。

「そ、それは、カリン軍の人工衛星落としかっ!」と、プラモ戦士が、語気を荒らげた。

「どれくらいの物か判らんが、私のソーラー・フェイスで、破壊しよう!」と、巨頭の超黄金も、意気込んだ。

「何を言っているのか判らないけど、この国は、メリケンと戦争をしているんだよ」と、蛸うさのぬいぐるみが、告げた。

「何ぃ〜! メリケンは、国際連邦軍の中軸国じゃないか! まさか、ここは、カリン軍の重要拠点とか…!」と、プラモ戦士が、警戒を始めた。

「カリン軍じゃないよ」と、蛸うさのぬいぐるみが、否定した。そして、「ここは、N国だよ」と、補足した。

「N国って、私も、N国生まれなんだけどな…」と、巨頭の超黄金が、訝しがった。

「ひょっとすると、私達とは、別の世界かも知れないわね」と、ピュア・フージェは、見解を述べた。裂け目を抜ける度に、出て来る者が、違うからだ。

「確かに…」と、プラモ戦士と巨頭の超黄金も、声を揃えた。

「ゲロッピー様、この世界に、魔王が、居られるのですか?」と、ピュア・フージェは、尋ねた。ゲロッピーの世界にまで、危害を加えようとしている魔王が、潜んでいると考えられるからだ。

「そうだが、お前達の近くには居ない…」と、ゲロッピーが、回答した。そして、「悔しいが、ここは、退却してくれ…」と、苦々しく言った。

「はい…」と、ピュア・フージェは、素直に、返事をした。そして、「あなたも、魔王退治の旅に来る?」と、誘った。仲間は、多い方が良いからだ。

「そうだね。このまま、ここに居ても、やられるだけだろうからね」と、蛸うさのぬいぐるみも、応じた。

 その直後、何者かが、二人、進入した。

「おおーっ!」

「夜のお供に、どうですか…?」

「ごめん。行けなくなっちゃった…」と、蛸うさのぬいぐるみが、残念がった。そして、「また、君とは、別の場所で、会える気がするよ…」と、示唆した。

「私も…」と、ピュア・フージェも、頷いた。そして、「私は、ピュア・フージェよ」と、名乗った。名前だけでも、教えておきたかったからだ。

「僕は、ファンキー…。あっ、早く行って!」と、蛸うさのぬいぐるみが、急かした。

「分かったわ。パンキー」と、ピュア・フージェは、足早に、次元の裂け目へ歩を進めた。間もなく、潜り抜けるのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ