五、巨頭の城
五、巨頭の城
ピュア・フージェとプラモ戦士は、次元の裂け目を通り抜けた。そして、出た先は、ガラスの棚の上だった。周囲は、箱に入った後頭部が異様に大きく、首から下は、頭部と同じ大きさの金属製のロボットだらけである。
「ここは、カリン軍の秘密基地なのか?」と、プラモ戦士が、プラッチックの棒を抜きながら、身構えた。
「なんか、超黄金って、書いてあるけど、何なのかしら?」と、ピュア・フージェは、小首を傾いだ。強そうな名前だが、中身は、そう見えないからだ。
突然、「ロケットヘェーッド!!」と、叫び声がした。
「きゃあ!」と、ピュア・フージェは、咄嗟に、右へ避けた。その一瞬後、巨大な頭が、通り抜けた。
「こんなの、レーザーソードでやってやる!」と、プラモ戦士が、立ちはだかった。そして、斬りかかった。しかし、プラッチックの棒は、呆気無く折れてしまった。その直後、巨大な頭の直撃をくらって、自らの頭部を飛ばしてしまった。
「プラモ戦士、大丈夫?」と、ピュア・フージェは、心配した。かなりの衝撃だったからだ。
「大丈夫だ。メインヘッドがやられただけだ」と、プラモ戦士が、返答した。
「お前、プラモなのか?」と、巨大な頭が、問い掛けて来た。
その直後、「ぎゃあああっ!!」と、プラモ戦士が、巨大な頭を放り上げた。
程無くして、奇跡が起きた。
なんと、プラモ戦士の胴体と巨大な頭が、合体出来たからだ。
その瞬間、「お、重い…」と、プラモ戦士が、よろめき始めた。
「そりゃあ、超黄金だからねぇ〜」と、ピュア・フージェは、呟いた。プラモよりも、超黄金の方が、重いだろうからだ。
そこへ、頭の無い金属製のデフォルメ感のあるロボットの胴体が、駆け寄って来た。
間も無く、ドロドロドラマのように、巨大な頭の取り合いが、始まった。
「このまま、見て居た方が面白いけど、よい子の手前、止めなくちゃあね」と、ピュア・フージェは、ぼやいた。ワケピュアとして、放って置く訳にもいかないからだ。そして、ピュア・スッポンを出現させるなり、超黄金の巨頭の後頭部へ、吸盤を押し当てた。その直後、「ピュア・バキューム!」と、叫んだ。
次の瞬間、超黄金の巨頭が、プラモ戦士の胴体から、すんなりと外れた。
その刹那、「わっ!」と、ピュア・フージェは、巨頭の重さで、バランスを崩した。そして、杖を手放してしまった。
間も無く、「ヘッドオン!」と、声がした。
ピュア・フージェは、咄嗟に、声の方を見やった。そして、「ウッソーッ!」と、驚嘆した。巨頭が、元の胴体へ、嵌って居るからだ。
「お嬢さん、頭が戻って、助かりました」と、巨頭の超黄金が、礼を述べた。そして、「この御礼を返したいのですが…」と、申し出た。
「そうねぇ。今、魔王を倒しに行っている最中なのよ。協力して頂けます?」と、ピュア・フージェは、告げた。ロケットヘッドは、当たれば、相当な威力が有りそうだからだ。
「勿論だ。巨頭の城と呼ばれる私が、加われば、魔王なんぞ、恐るるに足りんよ!」と、巨頭の超黄金が、快諾した。
「二人とも、盛り上がって居るところすまんが、ヘッドカメラを探してくれぇ〜」と、プラモ戦士が、這いつくばりながら、要請するのだった。