一、四次元人ゲロール
一、四次元人ゲロール
ここは、四次元空間…。
「三次元世界は、面白い事になっているな…」と、四次元の住人ゲロールは、三次元世界を、靄島に投下された“燃子爆弾”の衝撃で生じた次元の裂け目から覗き見て居た。そして、「まさか、三次元世界で、次元の壁を破壊する物が出て来るとはな」と、口にした。些か驚きだからだ。
「ゲロッピー、また、三次元を覗いて居るのか?」と、背後から声がして来た。
ゲロッピーは、徐ろに振り返り、「ははは。異次元の世界が、どんなものなかのか、興味がそそられてな…」と、理由を述べた。
「確かに、この先の次元は、興味深い。だが、次元の壁を破壊するような物を造る連中だ。慎重に行動するべきだろうな」と、四次元人が、忠告した。
「そうだな。しかし、指をくわえて、奴らが攻め込んで来るのを待つ訳にもいかんだろう」と、ゲロッピーは、難色を示した。野蛮な連中に、四次元へ攻め込まれるのを待つ訳にもいかないからだ。
「確かに、野蛮な連中が、この次元へ来るのは、頂けんな。しかし、我々が、三次元へ乗り込むのは、危険度が高いな」と、四次元人も、腕を組んだ。
「ならば、三次元の物に、我々の力を与えて、調査をさせるのは、どうだ?」と、ゲロッピーは、提案した。三次元の物質へ、四次元の力を付与する事で、危険度が回避出来るからだ。
「なるほど。我々の代わりに、三次元を冒険させるのも、悪くないな」と、四次元人も、頷いた。
「取り敢えず、三次元の動植物は、避けておこう。今回は、穏便に事を進めたいからな」と、ゲロッピーは、考えを述べた。三次元の動植物に、どんな影響が生じるのか、未知数だからだ。
「そうだな。まあ、お前の好きにするが良い」と、四次元人が、理解を示した。
「ありがとう。ゲロパン」と、ゲロッピーは、礼を述べた。