魔物の生き方
魔石の効果を検証していくと疑問が生じた。それはMPや素早さ、守備など一部のステータスの上がりが大きい点だ。
MPや魔力の上昇量が多いだけならば種族または職業補正などの理由と考えられるが、素早さや守備の上昇量の高さの原因は謎であるし、この上昇量は最近の傾向で序盤では見られなかった。またレベル5くらいまではMPもこんなに大きく成長はしなかった。つまり、これらは魔石を取り込み始めてから起こっている事象である。ならば魔石にはスキルの熟練上昇、そしてステータスの上昇効果があると考えられる。上限があるのかなどはまだ不明だが、魔物にとって魔石を取り込むことはこの世界で生きて行くためには必要不可欠なことなのかもしれない。
それならば俺の目標は、
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1:魔物を狩ってレベルを上げる。
2:魔石を集める。
3:熟練度が見えるスキルの数値を上げる行動をする。
4:この世界についてより理解する。
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となってくる。
そう考えると何をするべきかはおのずと見えてくる。
まずは水辺でトードを狩りながら水の中で活動することで水適応の熟練度を上げる方法を探すべきだ。水適性を覚えることは新しい場所へ行ける可能性を秘めている。それならやらないという選択肢はない。
水中で息継ぎをしながら泳いでいるとこの水辺で初めて見る魚の魔物を発見した。
特徴としては青い鱗に白い牙を持った魚で、大きさは50センチ程度だろう。
動きが早くとてもではないが真っ向から戦って勝てるとは思わない。そのため奴の動きを遅くする必要があるだろう。
一回息継ぎをしたら水中で奴の攻撃を待つ。
少し待っていると奴は左右に動きながら距離を測り、一定の距離になると猛スピードで突っ込んでくる。すぐさまスロウをかけ、遅くなった魚にダウンをかけ、魔力弾を打ち込む。二発ほどで動かなくなりドロップを落とした。
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タスクフィッシュの鱗
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この魚の名前はタスクフィッシュというらしい。残念ながら魔石はなかったが、水中戦の影響か水適応の数値が上がっている。魔石を取りたいこともあり、今日はここでタスクフィッシュを狩ろうと思う。
二時間ほど経ったので現在の成果を確認してみる。
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タスクフィッシュの鱗×36
タスクフィッシュの牙×12
タスクフィッシュの魔石×4
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結構時間があったうえ、結構な密度で生息していたのでもう少し倒せるとと思ったがなかなか難しい。特に魔石は全然落とさなかった。
とりあえず落とした魔石を一つ取り込んでみる。
ステータスを確認するとスキル欄に変化があり
水適応
遊泳1/100
となっている。
この二時間水中で戦いを続けたことでまず適応の熟練度は98まで上がっていたのでタスクフィッシュの魔石では水適応の熟練度が2、遊泳の熟練度が1上昇すると考えられる。そう考えればなぜタスクフィッシュの魔石はトードよりもまず適応の上昇値が高いのだろうか。考えられる理由は三つ。
1、種族として高位であるため。
2、上位のスキルなどを保持しているため。
3、生息地の違いによる差。
1の場合ウルフとアルミラージの時は気配察知は同様の上昇量しかなかった。トードとタスクフィッシュよりも上下関係にありそうな二体でも同じだったことからこの線は薄い。
2は上位スキルを持っている場合下位スキルの上昇量が高いということがあってもおかしくはない。
3は生息地の違いで得られるスキルの熟練度に違いがあるのかがまだわからない。確かに水辺とはいえ陸にいたトードと違いタスクフィッシュは完全に水棲だ。
その点ではさんの可能性もある。
これらの仕組みを理解しておきたい。この仕組みを理解できればこの後のスキル獲得に向けてより良い方法を見つけ出せる可能性もある。
そのためにはまずタスクフィッシュの魔石をもう一つ取り込む。もし2の理論があっているのなら上位スキルの熟練度が上がる可能性がある。しかし3の場合または2でも上位スキルの熟練度を上げるには特定の条件を満たす必要がある場合何も変わらないだろう。
魔石を取り込んだ結果、結論が出た。
ステータス欄を見てみると、
水棲1/200
と表示されていた。
つまり水適性の上位スキルは水棲の可能性が高く、それをタスクフィッシュは持っていたと考えられる。
この世界における魔石とスキルの秘密にまた近づくことができ俺の心はやる気に満ち溢れている。
名前:カイ
種族:レッサーミミック
職業:魔導師
Lv:15
HP:116
MP:326
攻撃:84
守備:123
素早さ:161
魔法防御:174
魔力:261
運:53
技術:121
スキル:初級魔術、擬態Lv5、弱体魔術、隠密LV3、水適応
水操作62/200
逃走8/50
気配察知10/150
雄叫び39/100
遊泳2/100
水棲1/100
称号:弱体の心得