ウルフ その2
ウルフたちが勢いよく向かってくる。コイツらの素早さを下げなければ攻撃が当たらず、奴らに攻撃の隙を容易に与えてしまうだろう。その前にスロウをそれぞれにかけておきたい。そのためには奴らな隙を作らなければ。
まずは岩に擬態する。そして、
「ウオォォォォ!!!!」
俺は腹の奥から雄叫びをあげる。
ウルフたちがいきなり岩に変わった俺が変な声を出したことで一瞬攻めるのを躊躇した。この先に俺はスロウをかける。奴らは動きが遅くなったことで苛立っている。何かきっかけがあればすぐ動きかねない様子だ。
そのため畳み掛けるように仕掛ける。ウルフのうち一体にダウンをかけ魔法防御を下げる。そうすることで魔力弾で半分の体力を削れる計算だ。実際この戦いの前にその方法でニ発でウルフを倒している。
こちらに突っ込んできた一体に魔力弾を打ち込む。ある程度の近距離であったこともありウルフに命中。地面を跳ねた体は起き上がることはなかった。
そして残ったニ体は仲間が魔力弾を撃ち込まれたことで警戒しつつも同時攻撃を仕掛けてきた。そのニ体にダウンをかける。そして一体目掛けて魔力弾を打つ。同時にもう一体の噛みつきを身体の端で受ける。避けることはできないが、当たる場所は少しずらすことができる。
体力が残り5となり、噛みつかれているのでジリジリと減って行く体力。その数値を見ながら噛みついたウルフの口の中に最後の魔力弾をぶち込んだ。
崩れ落ちるウルフたちの落とした素材を手にしたが、もう体力が3しかない。その後匂いにつられまたウルフが来ないように少し離れた湖に飛び込み匂いをとったあと湖周辺の岩に擬態し、休息をとることにした。
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しばらく休み体力を回復していると新たなスキルを覚えた。その名は「隠密」である。見てみると、
隠密LV1:同レベルの感知スキルまたは技能を持ったもの以外には所有者の情報の隠蔽、また所有者の気配を悟られない効果が発動する。
という能力らしい。擬態を駆使して戦って行く俺の種族にも合っているスキルだ。
岩に擬態して休んだおかげでHP、MPも回復してきたので少し場所を移動しようと思う。
「いつもの岩山付近まで戻ろうかな、、ッッッ!!?」
動き出そうとした時強い気配を感じ、擬態を解くのをやめて様子を見る。そこには先程のウルフと似たような姿の魔物がいた。しかし大きさは2倍以上、牙も長く鋭く全身が黒い毛で覆われている。周りにウルフが三体いるのを見ると奴らのボスなのかもしれない。
ここからでも感じることができる圧倒的な威圧感、筋肉の塊のような体。戦ってもまず間違いなく勝てない、そう思わせるには十分すぎる存在だ。俺は生き残るために擬態と隠密を使い隠れることにした。
(早く離れてくれ!頼む。)
ウオオオオオォォォォン!!!!
大気が震えるような雄たけびが聞こえたと同時に目の前に大きな牙を携えた獣の大口が見えたところで目の前が暗くなっていった。
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視界が戻った時いつもの岩山にいた。多分体力がなくなりリスポーンしたのだろう。ステータスを開くとレベルの減少が見られた。あんなに頑張ってウルフを狩ったのになぁ。まあまたあげればいいと思うことにしよう。
これからはステータスの変更があるときはこちらに書かせていただきます。
名前:カイ
種族:レッサーミミック
職業:魔導師
Lv:6
HP:42
MP:105
攻撃:31
守備:45
素早さ:59
魔法防御:76
魔力:112
運:22
技術:61
スキル:初級魔術、擬態Lv3、弱体魔術、隠密LV1
称号:弱体の心得