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知略の魔導師  作者: 金網
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魔物の時間

日がだんだんと落ちてきて空が夕焼け色に染まっている。俺は休憩を挟みながら城周辺を探っている。


先ほどログアウトを挟んだのだがやはりこちらの時間は予想より長く、起きた時疲れが出ていたので運営の判断は間違っていなかったのだろう。


沈んでいく太陽を少し見つめながら気配察知を続けていると不意に強い気配を感じた。その方向を見ると森の中から大きい鬼のような魔物が現れた。一目見てわかった。奴が今回魔物側の"ボス"だろうと。奴の後ろには豚の顔に人の体の魔物、よく物語に出てくるオークと似た魔物も多くいる。


急ぎチカの方へ向かう。気配を察知してみるとチカが近づいてきているのがわかった。


「チカ、ついにボス級が動いたぞ!」


「はい!私の見ていた方でも明らかに魔物の数が増え、強さも上がりました。」


「そっちにも変化があったのか。ボスは城に向かって正面から入って行こうとしている。少しチカにステータスを見て欲しいんだがいいか?」


「わかりました。すぐ行きましょう!」




移動して奴のステータスを見てもらってわかったことは奴がオーガという種族であること、レベルが50近くあること、そしてステータスが天狼に迫るほど強いということだ。


だが、このレベルの魔物がいるということは敵のNPCもこのレベルだということ。つまり城の中の護衛をこいつとぶつけなければ冒険者側は城の破壊を許しかねない。だがその動きをする際、間違いなく姫の護衛のレベルが下がる。そこを狙うしかない。


「チカ!今から城の中を目指す!敵の一番の戦力には見つからないよう慎重に移動するけど大丈夫?」


「はい!途中の敵はどうしますか?」


「少し細工はするが基本無視でいい。行くぞ!」


そして俺たちは城を目指し行動を開始する。ウルフと戦っている冒険者にすれ違い様弱体魔法を掛けていく。これでウルフ相手でも苦戦することだろう。しかし、チカは隠密を持っていないのでこれから先は危険になる。


「チカ、元の予定通り俺が姫を攫ってくる。チカはここで冒険者を倒しながら俺の気配がするまで粘ってくれ。」


「はい。カイも気をつけてください!敵の主力は移動を開始してますが、冒険者と兵はまだ姫の近くにいます。」


「行ってくる!」


まずは石になりチカに投げてもらう。戦いの最中なので砂煙も上がり、転がって行く石を注視しているものはいない。無事に入れたので城の備品に擬態しながら姫の部屋へと近づいて行く。




―――――――

(チカside)

カイが城へと向かっていきました。私も役割を果たさなければいけません。カイの魔法で動きの遅くなった冒険者をウルフに気を取られた隙に攻撃して行きます。多くの冒険者は一発二発で倒れて行きます。


少し周りの冒険者を倒しましたがまだカイは時間がかかりそうです。移動しようとした時、攻撃の気配がしたためしゃがんでかわします。


「今のをかわすなんて、あなたウルフとかの魔物とは違ってプレイヤーか中ボス級の魔物でしょ。メイは忙しいから代わりに私が相手するわ。」


彼女は明らかに他の方と比べて強いですね。警戒しながら鑑定を発動し、敵の情報を得る。これがカイに教えていただいた私が強くなる為に欠かせないこと。


彼女の名前はリン、レベル27の格闘家。ステータスとしては私よりもスピードと攻撃特化型でスキルには蹴撃というものがありました。天狼を見てきているので恐怖心はありませんが、ピリピリとした緊張感を感じています。


私の役目は彼女を倒すか、カイが来るまで時間を稼ぐこと。レベル差を考えると彼女を倒すのは難しいことですが、カイが天狼を倒せたことを考えたら諦めるのは早いというもの。


そこで私は城から離れつつカイが強者に会わずにこちらに来れそうなルートに移動しながら彼女を引きつけることにします。


「私についてこられますか?」


「上等よ!かかって来なさい!」


――――――――――――


城の中は冒険者の上位層には届かないが、下位層よりは遥かに強い兵が多く配置されている。こいつらが戦場にいればウルフなどの弱い魔物は一気に数を減らされるだろう。


そんな兵の目を擬態と隠密でやり過ごしながら姫の部屋付近についた。部屋の前には兵が二人、部屋の中には姫と兵一人、天井裏と隣の部屋にはそれぞれ二人ずつ兵がおり、さらに冒険者、たしかアキトという名前の奴とその仲間がこちらに向かってきている。あと5分もせずにこちらに着くだろう。


となれば今すぐに姫を攫うべきだ。俺は部屋の前まで石の姿のまま隠密を使い移動する。


「ウオオォォォン!!!」


「な、何者だっ、がっ…」


兵の前まで来ると弱体魔法と威圧、雄叫びを使用する。扉の前の兵は恐怖状態になっているため魔力弾で倒しておく。他の兵は異変を感じではいるが恐怖で動けない様だ。その隙に扉を破り中に入る。


「な、なにも、のだっ!」


「知る必要はない。」


「ひ、姫様!お逃げくださっ」


部屋の中には恐怖で動けない兵二人と側仕えが一人、そして姫さんがいる。全員恐怖で動けそうにない。今のうちに兵二人を倒しておき、姫と側仕えを連れて行く。


少し悪いと思いつつ気絶させる。これならば多少運びづらいが動く分には問題はない。部屋を出ようとしたときにようやく先ほど他の部屋にいた兵がやってくる。計六人いるが大したことはない。一度二人をおろし弱体魔法と魔力弾で仕留める。恐怖状態とはいえこのザマではこいつらはあの冒険者たちよりも弱い。


冒険者達が来ないよう城を破壊しておく。これで奴らはこの部屋まで来るのに時間がかかるだろう。


「誰にも会わず城から出るならこれしかないか。」


水操作を発動し堀の水を使いって道を作る。そして遊泳を使い、二人を背負いながら水の道を泳いで行く。まだチカは見えないが気配でどこにいるのかは大体はわかる。


「さてどうするべきか。」


水の道から出て戦場に降りたつ。そしてチカに合流するために走り出す。



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