表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

異世界への招待状

佐藤美咲さとうみさきは、都内の大学に通う平凡な大学生だった。彼女はいつも明るく、友達と楽しく過ごすことを心がけていたが、その明るさの裏には内向的でシャイな本当の自分を隠していた。人前では「猫をかぶる」ことで、周りとの関係を円滑に保っていたのだ。


その日も、美咲は講義を終えてキャンパスを後にし、自宅のアパートへと帰ってきた。疲れた体をソファに投げ出し、何気なくスマートフォンをいじりながら、彼女はふと一冊の古びた本に目を留めた。それは、最近訪れた古書店で衝動的に購入したもので、未だに一度も開いていなかった。


「こんな本、いつ買ったんだっけ……?」


表紙には見慣れない言語で「異世界への招待状」と書かれていた。好奇心に駆られた美咲は、そっと本を開いてみた。その瞬間、強烈な光が彼女を包み込み、目の前が真っ白になった。


次に目を覚ました時、美咲は見知らぬ場所に立っていた。周りを見回すと、そこには広がる美しい風景と中世のような街並みが広がっていた。石畳の道を歩く人々は、みな異国の衣装をまとい、美咲の存在に驚いた様子もなく行き交っていた。


「ここは……どこ?」


美咲は夢か現実かも分からないまま、呆然と立ち尽くしていた。その時、背後から優しい声が聞こえてきた。


「お困りですか?」


振り返ると、そこには金髪で青い目をした美しい青年が立っていた。彼は微笑みながら、美咲に手を差し伸べた。


「私はリュカ。この街の騎士です。あなたのような人がここにいるのは珍しいですね。」


美咲はリュカの優しさに触れ、少しずつ安心感を覚えた。リュカは彼女を街の中心へと案内しながら、この世界のことを丁寧に説明してくれた。ここは「エリス王国」と呼ばれる場所で、美咲がいた日本とは全く異なる異世界だった。


美咲は信じがたい話に戸惑いながらも、リュカの誠実さと親切心に心を開き始めた。彼は美咲に、この世界での生活について教え、彼女が必要とするものを全て手配してくれた。美咲は次第に、リュカと過ごす時間が楽しみになっていった。


ある夜、美咲はリュカと一緒に王国の広場を散歩していた。満天の星空の下、二人は静かに歩きながら、互いのことを語り合った。美咲はリュカに、自分が本当は内向的で、人前では「猫をかぶる」ことが多いと打ち明けた。リュカは驚いた様子もなく、優しく微笑んだ。


「誰でも、本当の自分を見せるのは怖いものです。でも、美咲さんはもう少し自分を信じてもいいんじゃないですか?」


リュカの言葉に、美咲は少しずつ自信を取り戻していった。彼女は、この異世界での生活が自分を変えるきっかけになるかもしれないと感じ始めていた。


美咲は次第に、自分自身を受け入れることの大切さを学び、リュカとの絆を深めていった。彼の前ではもう「猫をかぶる」必要がないと感じる彼女は、本音で話すことができるようになっていた。美咲の心には、新たな冒険と、リュカとの未来が広がっていった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ