願子の日々 (LINK:primeira desejo4)
無為な青春に一石を投じたかったのか、なにやら色々なことを始めたがんちゃん。
刺激を与えられるような友だちでもできたのか。喜ばしいことだ。
青春只中にいる者に時折襲い掛かる、「何かしなくては」という焦燥感。
夏休みという時期は特に発生しやすいのかもしれない。
ギター、ロードバイク、ガーデニング……他にも何かしていたかもしれないけど、継続して何かに取り組んでいるようには見えない。全滅である。
そんなことある? 全滅って。
私はブラスバンド部で編成によってクラリネット、バスドラム、コントラバスをやっていた。
がんちゃんがギターを弾けるようになったら、姉妹でセッションなんて極上の夢を見るのも悪くは無かったが、夢など脆く儚いものだ。
何にも続かないがんちゃん。かわいい。それで充分である。
週三のバイトは頑張っているようだ。
がんちゃんのバイト先は学校から家に向かってふた駅の駅前にあるファミリーレストランでホールスタッフをやっている。
キッチンスタッフが希望だったようだけど、キッチン経験は無く、ホールは人手が足りていなかったということで、ホールに回されたがんちゃん。
学校から家への帰り道ではあるが、途中下車しなくてはならず面倒だ。それでも、学校のある駅も家のある駅も、知り合い遭遇リスクがあるため嫌だったのだろう。
なので、まあ想定通りの反応ではあったが、私が見に行くと言ったら猛烈に拒絶された。
その時の勢いときたら、意図せず窓を開けていた家の中に、飛び込んでしまった雀のようだった。
必死で、パニくってて、大騒ぎしてて、わたわたしていた。
良いのかな?
こんなごちそういただいちゃって。
愉妹を堪能させてもらった私は、がんちゃんの言うとおり、見に行くのは控えた。
強引に来店して反応を見るというのもできなくはないが、別に意地悪がしたいわけではない。
繰り返すが、基本的にはがんちゃんには笑顔で、心穏やかに過ごしてもらいたいのだ。
それに、様子を見るだけなら手はある。