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内訳 (LINK:primeira desejo81)

 がんちゃんが出られるイベントを、がんちゃんが主軸になって獲りにいく。

 そのためのプレゼンもがんちゃんが行う。相手は大人だ。それも、大企業の担当者。


 絶望感に呆然としていないがんちゃんはむしろ芯が強い方だと思う。

 それでも、不安がないわけはない。

 そもそも何をどうすれば良いのかさえわからないだろう。


 私は椅子から立ち、がんちゃんの隣に腰を下ろした。軽く頭を撫でてやる。


「私たちがバックアップするって言ってるでしょ? 全部がんちゃんが背負う必要はないんだよ。安心してね」


 具体的にどのようなことをすれば良いのか。そしてどのようなバックアップが得られるのか。

 口頭で安心してねと言われて安心できるなら苦労は無い。なぜ安心できるのかも示さなくては。




 姫田の担当にプレゼンをする。

 通る見込みはある。

 ただし、通り方によってその後の確度がかわる。


 姫田へのプレゼンで得られそうな結果は大雑把に分けて三段階。

 そのすべてで共通するのはスポンサーの立場で、阿波ゼルコーバのファン感謝イベントの担当に推してもらうことを目的としている。


 一番簡単なのは、スポンサーの立場で企画に賛同してもらい、阿波ゼルコーバ担当に繋いでもらう。紹介する上で、おすすめの口添えくらいはもらえるだろう。

 そもそも姫田にとっては損のない話だ。最低でもこの戦果は獲れる。


 これは、阿波ゼルコーバに全ての予算を組んでもらうことになる。

 実質、阿波ゼルコーバへのプレゼンが本番となり、この最後の砦でこの提案でかかる全ての経費に対し、充分な効果を見込んでもらわなくてはならない。

 勝算は六割から良くて七割と言ったところか。


 今回の提案で目指したいのは次の段階。

 姫田の方で予算の半分近くを持ってもらえる状況。

 単に阿波ゼルコーバ側の負担が減るだけでも勝算はかなり上がる。

 加えて姫田もお金を出すという事実は、推薦の本気度が高くなる。

 スポンサーがチームのためにお金を出す覚悟までしてくれて推しているものを、無碍に断りにくくなるという組織の論理も働く。

 このためには、プレゼン時にスポンサーにもたらされるメリットを高いものと踏んでもらう必要がある。

 安易に阿波ゼルコーバに委ねてしまって、提案が受け入れられなかったらスポンサーが損したと思ってしまうほどの。



 望みすぎではあるが叶えば理想的な成果と言えるのが、ほぼ満額姫田が負担してくれるというもの。

 チームをお金を出してスポンサーする立場を十全に発揮してもらう。

 すでに予算を組んでいるだろう中からの、新たな出費をしても良いと思えるほどの効果。

 それを姫田側が見出してくれた場合にのみ起こりうる成果。

 これは最初の段階とは逆で、阿波ゼルコーバにとっては全く損のない話だ。この時点で提案は通ったに等しくなる。



 最高成果は難しいが不可能ではない。プレゼンの主旨は自社が地域貢献を目的にスポンサーをしているチームのイベントにとって、プラスになる面白い取り組み、かつ物理的な制限や時間的な制限、予算的な制限下において現実的で、リスクのないものを用意する。


 お金を出すのは大変なことだ。企業には決まった予算があり、効果を精査し内容によっては稟議を通し複数の立場の人間が承認してようやく採用となることも多いだろう。

 一方、お金を出させるのは大変だという思い込みもある。

 要は単純な足し算と引き算で、プラスになれば通るのだと思えば、それほどのことでもないと思えてくる。


 難易度はともかく、構造は単純なのだ。複雑に考えるとそこを見誤る。


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