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提案先(LINK:primeira desejo79)

 決まっているターゲットに対し、そのターゲット向けに整えた提案を行う。

 数打てば当たる方式と違い、外したら終わりだが、決まった相手に特化した提案を行うのだ。事前準備や手順を進める段階から至るべき地点に向かって確実に歩を進ませることができる。

 ニーズもシーズも理解し、それに合わせた応えを用意して挑めるのだ。手筈を整えるまでが最も難易度が高く、そこまでクリアできたなら、あとは大きなミスさえしなければ勝算は高い。



「それでね、ちょっと考えてることがあるんだ」


 がんちゃんは真剣に聴いてくれている。


「狙うは、『阿波ゼルコーバ』のファン感謝イベント!」



『阿波ゼルコーバ』は、阿波市に拠点を置くサッカーチームだ。市の木であるケヤキがチーム名になっている。

 最近プロのリーグ入りを果たし、小さなニュースになっていた。


 前身は『姫田林業サッカー部』だ。

 その地域が創業地である『姫田グループ』が『姫田林業』時代に立ち上げた企業チームで、社名を変え拠点を東京に移してからもスポンサーになっている。


 縁はある。が、それで案件が得られるなどと思っているわけではない。

 私の家は創業一族ではあるが傍流のひとつにすぎず、そもそも姫田グループの経営はすでに創業一族の手を離れている。姫田の名前に然程の利用価値はない。

 更に言えば『阿波ゼルコーバ』は前身は社内のチームでも、今は独立したプロのリーグに所属しているチームだ。

 姫田グループを経由できたとしても、スポンサーだからと言って簡単に干渉はできないのではない。


 がんちゃんからもそのような疑問が呈された。

 物事の道理をよく理解しているじゃない。


「大きくも、複雑にも、難しくも考えなくて良いんだよ」


 先ほど伝えた祭りと主催者の思惑の関係性。原理原則は同じなのだと伝えた。


 ファンへの還元と、新たなファン獲得またはファンの育成による収益向上。


 地域貢献と企業や製品のブランディング。目的は販促のみならず、採用や株価への効果を狙う。


 阿波ゼルコーバも姫田グループも、ファン感謝イベントの管理は担当者が担っている。

 ファン感謝イベントが担う要素を、考え構築して排する手間の一部を『ソルエス』が提供し、予算に見合う効果を提案すれば良いだけだ。



 がんちゃんの様子を見る。

 まだ難しそうな顔をしている。


 まあそうだよね。

 今言ったことだけでよかった、安心した! なんて感じになれるがんちゃんではないことはわかっている。

 そしてそのことは、私を安心させた。


 がんちゃんは物事を深く、多面的に見られる。


 そんながんちゃんへの安心材料、ちゃんと用意しているからね。



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