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希少な機会

 みことの話を聞いて改めて思った。


 なんの予定もない、何をやっても良かった一日。

 たまたま午前中に出かけた場所の位置。


 たまたま僅差で選ばれた次の目的地の浅草。


 その日、その時間に、そこにいたのは、偶然に偶然が重なってのことだ。何かひとつでもずれていれば、その出会いはなかった。

 もっといえば、その手前でディズニーのパレードに魅入られていなければ、出会いはあっても響かなかったこともあり得る。


 みことは、直前に食べたブラジルプヂンがブラジルのサンバと引き合わせてくれたんだと、奇跡がもたらした運命のように語っていた。

 それはひとつの真実ではあるだろう。


 自宅で浅草サンバカーニバルを調べ、自宅近くに参加チームのひとつがあると知ったみこと。

 しかし、実際の行動に移すのにはもう少し時間を要した。


 みことがサンバの世界に身を置くために、いったいどれほどの偶然を超えなくてはならなかったのだろう。

 みことの言う通り、奇跡であり運命なのだと思う。


 そしてそれは、他のメンバーにとっても大なり小なり近いものがあるのではないかと思った。


 参加者からすれば、運命で良いだろう。

 募集者からしたらどうか。誰かの奇跡の運命に委ね続けるのは余りにも分が悪い。奇跡など簡単には起こらないから奇跡というのだ。



 偶然の出会い。

 これはどんな分野でも本質は同じだろう。趣味であってもプロを目指していても、最初の出会いは偶然によるものだ。


 それがありきたりな機会なのか、奇跡的な邂逅なのかの差が、そのまま競技人口または市場の差に繋がっていると思う。


 授業で取り組むダンス。

 気軽にカラオケで歌うのが日常化しているヴォーカル。

 比較的試合や選手に関する情報が受動的でも入ってくるような野球やサッカー。

 人生を大きく変えるような収入になり得るスポーツや競技なら、多少知名度や認知度が劣っていても、やはり競技人口は多く、それを目指すべく自らその文化の扉を開く者もあろう。



 当たり前のことではあるが、世間や社会への浸透度と定着度が参加者の裾野を広げる要素となる。


 サンバはどうか。


 サンバという単語を聞いたことがないひとは少ないと思う。これは大いなるアドバンテージのはずだ。

 にも関わらず、サンバの実態はほとんど知られていないという逆転現象が起こっている。


 募集者として、という観点で見れば、『ソルエス』でいえば代表のハルや広報を担うジルの運営的な側面での精度に関わる。アイジもクリエイティブとして参画しているそうだが。


 サンバという文化と世間の認知のギャップやアテンションにテコ入れできれば、効果も変わってくると思えた。



 耳馴染みのあるサンバという文化を、正しく広められれば一気にメジャーな分野に引き上げられるのではないだろうか。

 奇跡ではなく、当たり前のように選択肢の一つとなるような。


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