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おまけの一日

 それは、単なる偶然だった。

 そこに物語性を見出すならば、奇跡と言い換えても良い。


 たまたま、その日その場にいたみことは、日常生活ではまず見ることのできない光景を、日常生活の中で観ることになった。




 夏休みももうすぐ終わる。


 海も行ったし海外旅行も行ったし田舎(母の実家)も行った。

 浴衣で花火も見た。バーベキューに川遊び、キャンプもした。

 あらゆる夏の楽しみを楽しんだ。しかもすでに宿題は終えている。


 完璧すぎる夏休みを過ごしたみことは、充実した気持ちで、残る日数を優雅とさえ言える余裕をもって過ごしていた。

 ある意味余力、余分、おまけといった感覚で残りの日数を使い新学期に備えていたみことは、夏休みが終わることの焦燥感も感じていなかった。



 何をしていたって良かったその日、同じく時間に余裕があった友だちを見つけ、清澄白河のプリンが有名なカフェを目当てに朝から出かけていた。すぐに売り切れてしまうので早めに行動していたのだった。


 少し硬めのプリンは評判通りおいしかった。

 正確にはブラジルのプヂンというプリンに似たスイーツで、甘味が強く濃厚、もっちりとした食感がたまらない。


 高い満足度に顔を綻ばせながら店を出たみことたちは、それでもまだ午前中という時間帯に、今日一日が楽しいものになる予感を得ていた。



 何をしたって良い、何も決まっていない一日。さぁ、なにをしよう。


 みことたちは次の目的地を、スカイツリーのある押上か、美味しいいちごのスイーツを出すお店のある浅草かで迷っていた。

 まだ小学生だったみことたちは、時間は潤沢にあるが活動資金は限られている。何をするにしても残額を考えなくてはならない。

 スイーツ尽くしをするにしても一旦昼食は摂りたい。どちらも観光地だから単価は高くなりそうだ。


 みことたちは、どうせお金を使うなら景色よりも美味しいものに、と結論づけた。


 浅草なら食べ歩きの選択肢も多そうだから、それをお昼にしても良い。

 お腹がいっぱいになっちゃったら街並みやお店などを巡っているうちにこなれてくるはずだ。そうしたらそのまま目当てのいちごスイーツのお店に行こう。


 そう決めたみことたちは、清澄白河の街もなんとなく散策しながらのんびりと駅へと向かった。


 そして、浅草へ。

 その時のみことは、そこで運命と出会うことをまだ知らなかった。



 

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