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私の愉しみ

 選べなかった家と両親によって与えられた環境と、影響。

 によって築かれた私という人格と機能。

 を乗りこなして得た充分な自由と信用と、放っておいても差支えの無い些末なリスク。


 この条件下で、私は私の人生を謳歌するのだ。愉しみ尽くすのだ。



 私の愉しみとは。



 そう、みっつ年下の妹、願子である。

 願う子と書いて、「めがみ」と読ませる、なかなか個性的な名を与えられた妹が、私の人生を豊かにしてくれる存在だった。




 三歳の年の差というのは微妙だ。

 ずっとかわいがってきた妹だが、中学と高校に関しては留年でもしない限り同じ学校に在籍することができない。


 同じ学校で、先輩と後輩の関係性にて近くでその成長を、姿を見届けたかった。


 けど、無理なことを言っていても仕方がないので、私は妹の様子を少しでも知るために、感性と感覚と能力は磨かれていったのだ。




 地方で興った今は大企業の姫田(ひめた)グループ。

 創業一族の系譜の傍流である母と、グループに努めていた婿養子の父の調子が私。


 私には(いのり)という名を与えられた。


 そして、私の愉しみな妹、愉妹(ゆもうと)とでも呼べば良いだろうか。

 が、姫田家傍流の次女、願子である。

 母から与えられたその名は、「めがみ」という読みを伴っていたが、願子は今ではそのまま読める「がんこ」や、「がんちゃん」と周囲に呼ばせていた。


 かわいい。



 子どもの頃はがんこと呼ばれるのも、からかいなどを伴っていて嫌がっていたが、それ以上にめがみという読み方がきらきら過ぎて、馬鹿にされたりいじられたりするので、「詰んだ詰んだ」と騒いでいたものだった。

 今ではめがみよりはマシだと思っているようで、自らその読み名で自己紹介をしている。


 かわいい。




 私の願子に、私以外が悲しい顔をさせることなど許さない。


 願子をいじった連中をぼこぼこにする?


 そんな一過性の解決んて意味が無い。

 というか、それは解決ではなく、その場しのぎで、更なる禍根を残す下策中の下策だ。


 馬鹿にしていた子たちは、片っ端から私が丁寧に説きほぐし、誤りを自ら認めさせ、自らの意思で謝らせ、以降願子の良き友だちとなってもらうのだ。



 大丈夫、幼子なんてみんな話せばわかるものだ。


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