傾向と対策
るいぷるの傾向はおおよそ把握した。
もちろん、たったこれだけのやり取りで人物を理解したなどと言うつもりはない。
傾向のみの把握ではあるが、この子によってもたらされる、混乱や混沌の方向性はなんとなく掴めた。
不確定なリスクに当てでポイントを絞ってがっちがちにケアする必要はない。それはむしろ外した場合にケアが及ばないと言う新たなリスクを生む。
リスクの傾向がわかれば、その大枠をなんとなく守っていれば良い。ことが起こった時にどうするかだけ決めておければ良い。
具体的な対応なんて、事象ごとに千差万別だ。ピンポイントでケアをしようとする方が無理がある。
るいぷるの特性は、簡単に言えば要は感性が鋭く独特で、それに基づく言葉も独特。
距離の詰め方やコミュニケーション能力など、対人スキルに優れていて且つそこにも独自性がある。それだけのこと。
人好きで人が好い、基本は善性。
その軸がブレないとするなら、外側を彩る行動や言動に惑わされなければ、ただの人懐こい良い子だ。
むしろ理想の姉を人生を賭して追求してきた私にとっては、相性は良い。easyとさえ言える。
この子をおぎゃらせることなど、文字通り赤児をあやすが如く造作なきこと。
「いのこちゃん? 人生のパイセンを底辺を見るような目で見てない? 敬わなあかんよ?」
やっぱりこのひとバケモノか!
鋭いと評したその感性は、常軌を逸した域にある。
「おまえが言うか!」と、アイジの凡庸な突っ込みには無視という仕打ちを繰り出しているるいぷる。
まあすごいと言えばすごいがよくよく考えたら特にどうと言うこともなかった。
私も自分で言うのもなんだが、腹で色々思ってはいても、基本は人が良い側だと思う。
考えていることや思っていることが知られて困るようなことは何ひとつない。
相手がどれだけ鋭かろうが、どれほど見透かされてしまおうが、何ら隠し立てするようなものなどないのだから。
その考えに及び至る前に反射で驚いてしまったのは、やっぱりややペースは乱されているからだろうか。
それはそれとして。
ハル以外のマランドロふたりのうち、鋭そうな印象の方がアキだとすると、るいぷる、アキ、アイジ、私の間で交わされていた、少々騒がしいやりとりを柔和な笑顔を浮かべ眺めていた、ある意味泰然とした男性ダンサーの方がウリだろう。




