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るいぷるとアキ

 ふたりについて練習場に入る。


 バテリアはなんとなく隊列を組みつつあるがまだ揃っていない。音響の方もまだ調整中だ。


「あ、アキにぃ! 聞いて聞いて、いのっちと仲良くなったよー」


 るいぷるが男性ダンサーに話しかけた。やや鋭い印象の方の男性ダンサーがアキか。

 それにしても、あのやり取りでもう仲良くなれたと考えるのか。すごいな、この子。

 年上のはずだがまるでそんな風には思えない。


「でさぁ、いのっちってヘンタイだと思うんだよねぇ」


 ちょっとっ! 何を言っているの⁉︎


 いや、いい意味でよ? とか言っているが、それを言えばなんでも「良し」とはならない。



「おー、そうか」


「なんであっさり受け入れてるんですかっ⁉︎」


 思わずほぼ初対面の男性に割と大きな声を出してしまった。

 この子といるとペースが乱れる。



「るいぷるの言うことだからなぁ。意味はよくわからなくても、『良い意味で』というなら、そうなんだろ。

新に入って来たメンバーがるいぷるが肯定的に評価している人物なら、まあ良いんじゃないかなって思って」



 このひとも配慮やよそよそしさを感じるような距離感を取らないタイプだな。るいぷるのように近すぎたり馴れ馴れしかったりもしないけれど。


 しかし、なるほど。そう言う考え方もあるか。

 ある意味るいぷるは絶大な信頼を得ているのだろう。

 言っていることが突拍子もなかったり、素っ頓狂だったりするので、気にするに値しないことと、彼女が肯定的に捉えているものに対して、疑いを持つ必要がないと言うこと。


 ならば、「良い意味で」と言う表現は言葉通り捉えても差し支えないのかもしれない。



「むしろ気にすべきは、『仲良くなった』だと思うぞ。

たぶんいのりはるいぷるに気に入られてしまった。

さっきのるいぷるの言動に驚いていたようだが、あれが日常になるんだ。はやく慣れないとな」



 なにを不敵な笑みを浮かべて言っているのかこのひとは。



「ひどっ!」


 るいぷるが言葉を返した。

 ああ言う言われ方をしたら「ひどい」と思う感性は持っているのか。



 るいぷるの言動には初見ということもあり驚かされたが、理外とまでは言えない。

 言っている内容の位相にズレはあっても波形が逆というわけではない。

 予測と感性でアジャストできる、同じ理の内側の価値観を持つ、相互理解が適う対象だ。

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