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るいぷるとの問答

「私の、何が......?」


 気を持ち直し、立て直したつもりだったが、やっとの思いで紡いだ言葉は狼狽がモロに現れていた。

 あまりに突飛すぎる言葉だったからだと思いたいが、意外と精神的に効いていた?


「おまえ、あんまし思いつきでしゃべんなよ。

いのり、なんて言ったら良いかわからんよな? あいつの言うこと、いつだって埒あかんのやし、あんま気にせんとって」


「思いつきじゃないんだけどなー。シックスセンスがびんびんに感じたんだけどなー」


「それが思いつきっちゅーんやないか?」


「えー」


 アイジの比較的まともな言い分に、るいぷるは不満気ながらも言いくるめられそうな雰囲気だ。

 そうこうしているうちに流石にそろそろ練習場に戻る雰囲気になり、この話はこれで終わりとなった。


 戻りがてらるいぷるから、「本当に悪い意味じゃないからね? なんかね、感じたの。波動を。なにかの」と、割と真面目な顔で得体の知れないことを言われた。


 結局よくわからなかったが、まあ悪意がないことがわかったのと、アイジとるいぷるとも交流が持てたので良しとしておこう。



 しかし、それにしても、私が「ヘンタイ」とは。

 これまでの人生で、そんな評は受けたことがない。

 結構斬新な気持ちだ。


 自覚は無い。

 無い、が、「ヘンタイ」の定義はそもそもなんなのだろう。

 辞書に乗っている意味や、広く一般的に使われている意味。それがそのままの意味として使われたのでは無いだろう。なにせ、「良い意味で」と言っているのは文脈的に取り繕いの意図ではなく、掛け値なしに良い意味としての意図で言っていただろうから。


 日本語でも、貶める言葉の「馬鹿」などの単語を褒め言葉の前に使って、褒め言葉をより強調する使い方がある。英語のスラングにも似たような表現は多い。

 確かに、一芸を追求し尽くすマニアックな姿勢を、変態的と評する場面もあるだろう。


 要はそう言うことか?

 センス云々とも言っていたし。


 でも、どの要素だろう?

 手前味噌だが、私は比較的なんでも得意で、一通りのことはできる自負はある。

 高い水準でまとまっているゼネラリストとしてなら相応の評価を得られる自信はある。

 しかし、何かに特化し追求してはいない。

 勉強は得意だが誰よりも長けていると言うほどでは無い。

 苦手な教科はないが、誰にも負けないといった得意教科は持っていない。

 ブラスバンド部では複数の楽器を選抜メンバーとして編成によって使い分けていたが、これもそれぞれの楽器に於いて随一のプレーヤーというわけではない。

 プレゼンやレポートや営業や資料作成など、学生にしてはレベルが高いと言われている。

 料理も裁縫も歌も絵画も褒められる程度の実力はある。

 授業で行うスポーツや運動に苦手なものはなかった。


 でも、何かを極めるといった生き方はしていなかった。



 いや。

 ひとつ、これだけは負けないものがあるとしたら。

 がんちゃんの姉を徹してきたこと。

 がんちゃんへの想い。

 これは誰にも負けない。


 ......これのこと、か?

 確かにこれは、ヘンタイ的と、言えなくもない。気がする。


 けど、それを外部に出したことなどない。

 それを直感で、「なんかわかんないけど」と言いながら感じた、または勘づいたのだとしたら、るいぷるこそ、ヘンタイ的なバケモノだ。




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