真なる姉(LINK:primeira desejo43)
がんこが見つけた、がんこだけの場所。
母も、私もいない、がんこの居場所。
大切なのはわかる。大事にしたいのはわかる。
だけど、母やわたしを避け続け、隠れるようにしてたどり着いた居場所の足場は、きっと脆い。
母や私の影響や干渉など物ともしない強さ。
揺るがず惑わない確固たる意志。
がんちゃんが手に入れた大切な居場所を、本当に守りたいと思うなら、必要な要素になる。
もうそろそろ、実体のない何かを、気にする必要などないのだということを、がんちゃんには識って欲しかった。
しかし、まだ弱くて脆くて儚いがんちゃんは、練習場を飛び出していった。
大切な、スルドを置いて。
がんこにとって、私は邪魔な存在だ。目の上のたん瘤というやつだろう。
家でも学校でも、私さえいなければと何度思っただろうか。
ようやく高校で私から離れ、私のいないコミュニティに居場所を見つけ、そこで夢中になれるものと出会った。
そこに邪魔な私がまた現れたら穏やかではない。
そんな邪魔者が、硬く身を守っていれば通り過ぎる一過性の嵐ではなく、常にその場に居続ける暗雲となるのだと思ったとき、がんちゃんの心は黒く塗りつぶされ、折れてしまったのだろう。
それほどまでに、がんこにとって私は邪魔なのだ。
それがわかっていても、私は仕掛けた。
厭われても、拒絶されても構わない。
それが、真の姉の在り方なのだから。
妹に甘々デレデレの溺愛姉なんてのはただのキャラクターだ。
姉の愛情に比例するように、妹から愛情が得られて然るべきなんて思いは傲慢だ。
本当に妹を愛しているなら、妹の人生そのものが、より善く在らんと立ち回るべきだ。
その結果、仮に嫌われ、憎まれたとして、何の瑕疵が有ろう。
姉が愛するのは、姉を愛してくれる妹か?
否。
姉を愛さなくなった妹は、もはや愛の対象に無いというのなら、そんな愛はやはり欺瞞に過ぎない。
姉が愛するのは、妹であり、そこに条件などは無い。
私を避けているがんちゃんだって私は愛している。
仮に私を嫌っているがんちゃんだって、きっとかわいい。
例え私を憎んでいたとしても、そのがんちゃんだって愛せる。
これが、真の姉の在るべき姿だ。
がんちゃんに揺ぎ無い心の獲得を望む私の心もまた、一片の揺るぎも無い。
だから今、がんちゃんが走り去ったこの状況も、私は必要なこととして受け止めている。
私が今すべきことは、がんちゃんのケア……ではない。
がんちゃんがこのことを受け止め、超えた後で、当たり前のように戻れる場にしておかなくては。




