拒否反応(LINK:primeira desejo42)
楽器奏者たちが、こちらを多少気にしつつ、準備したり音を出したりしている。
まだそれほど人数が多いわけではなかったが、何種類もの楽器があって多彩だ。また、見たこともない楽器で興味深い。
会話の流れで、そのようなことを言い、軽く体験についても触れてみる。
体験をするには事前の予約が必要との記載があったが、手続きや準備のためというよりも、受付に関するオペレーション上の兼ね合いだろう。
今のわたしのように、既に身元が知れていて、ある意味受付が終わっているような状態の場合はどうだろうか。杓子定規に原則NGとされてしまうだろうか。
「ハル坊、別に構わねーだろ? ちょっとやってみるか?」
キョウさんの言葉にハルさんも嬉しそうに頷いている。
「どうせならがんちゃんと同じ楽器やりたいですね。体験だけじゃなくて、一緒に演奏できたら楽しいだろうなぁ」
思った通り、それほど厳粛ではなく、体験はさせてもらえそうだった。
興味を持ったのも体験してみたいのも、ついでに言えばがんこと同じ楽器をやってみたいというのも、本音だ。
但し、それをわざわざ今この場で口にしてもたらされる波及効果はある程度想定してある。事態が起こりうることを理解していながらも、手を打ったのには意図がある。
「やだ! なんで⁉︎
祷、他になんでもあるじゃん‼︎ なんでっ......なんでわたしのっ......!」
私の言葉に、強い拒絶反応を示すがんこ。
反応は予定通り。その強さはやや想定を上回っているか。
そうであるなら、なおさら必要なことだ。
このサークルの人たちと少し話をして、練習風景などの雰囲気を見て、良いサークルなのだろうと思った。
がんこを任せて問題ないと思う。大人も多く、同世代のみで構成されている学校や部活では体験できない学びの機会を得るだろう。
がんこ自身が、気に入っているように見えたのも嬉しい。
あんなになにも続かなかったがんちゃんが、夢中になれる何かを見つけたのだ。
この強い拒絶からも、がんちゃんがスルドという楽器の演奏、というよりも、このサークルに対して愛着を持っているのが良くわかる。或いは、執着か。
強く興味を持てる何かを見つけたがんちゃん。
そんながんちゃんにこそ、超えて欲しいことがあった。
いつか、どこかで、超えて欲しいと思っていたこと。
その機会は、今日、ここでなのだと思った。




