前日(LINK:primeira desejo 131)
耳くらいの高さで髪を縛って肌を整える。髪はトップにボリュームを出しラフにまとめる。
朝から温泉に入ったおかげで、肌もつやつやだ。
隣で準備しているがんちゃんを見る。がんちゃんもぴかぴかでかわいい。
今日のメイクはナチュラルで良い。髪もシンプルに縛ったままでいこう。少し後毛を出し、軽く巻いて終わり。
がんちゃんも髪をさっととかしただけで準備を終えようとしていた。「ちょっといじらせて」と、スタイリング剤を少し指で掬い、手のひらで伸ばしてからがんちゃんの髪を触る。全体をくせ毛風に整え、少し伸びつつあるショートボブを耳に掛けるようにアレンジしてみた。
「どうかな?」
「わ、なんかおとなっぽくなった!」
がんちゃんは「これでいこー」と喜んでいる。良かった。
服装はたくさんは持って来れないので、着回しで印象を変える。
今日は二人ともカジュアル×シンプルで動きやすくまとめた。練習にも、その後の観光にも適した格好だ。
初見のサンビスタたちとの挨拶もあるが、かしこまる必要はないだろう。むしろ『ソルエス』のメンバーとしてその場に立つなら、エスコーラTシャツが正装に近いだろうか。
本番用は新規のTシャツがあるので、普段のものは練習着として使用しても差し支えない。
練習場では着替えられるだろうから、挨拶は着替えを終えたらさせてもらおう。
移動した私たちは、鳴門駅で先行していたメンバーや別々に辿り着いたメンバーたちと次々合流した。
ハルがチームをまとめ、練習場の会館に行く。
会館には現地のサンビスタたちが集まっていて、『ソルエス』一行を歓迎してくれた。
企画者である私もハルが紹介してくれて、主要な方々と直接挨拶をさせてもらった。
関東からはかなり距離がある。頻繁な交流は難しいだろうが、何かの折にこの縁が活かせたらと思った。
夕方までかなりしっかり練習をした。
なんせ合わせられるのはこの場限りだ。やってやりすぎるということは無いのだろう。
ある意味急拵えの合同チームになるわけだが、練習の成果か、練習後半にはかなりの一体感があり、ヂレトールの合図にもズレなく対応できるようになった。
当初は一回のみの練習で本番に挑むという状況に対し、多少の練習不足は基礎の実力に依存した臨機応変さでカバーすると言った話もあったが、そんな心配はなさそうだ。
今日の練習は、成果を裏打ちするものとなっていると、初心者ながら確信できた。いや、臨機応変さでリカバーを容易くできるような豊富な経験のない初心者だからこそ、不安と不安定を抱えた初心者だからこそ、練習にて得た成功体験と再現性に、安心に対する根拠を持てたのだ。