集合の地へ(LINK:primeira desejo 120)
今日はがんちゃんとドライブ。というわけではない。
がんちゃんからのおねだりを叶えてあげるのだ。
テストを終えたがんちゃんと同級生は解放感のまま、遊びに行くことにしたのだという。
法定速度前後で流れている公道。前の車との車間距離は適切。こういうペースでは、大抵同じリズムで信号を通過する。進むリズムの時は赤信号に捕まることなく進めるし、止まるリズムの時は測ったように毎回止められる。
次の信号も、私の前の車のところでちょうど赤に変わった。
がんちゃんはスマホで誰かにメッセージを打っている。
「ともだち?」
「うん、もう着いてる子いる」
もうそう言った時刻になっていたか。
今日はがんちゃんと、「フェスタジュニーナ」でスルドを演奏しに、イベントを主催する北関東のスーパーマーケットまで行くのだ。
がんちゃんと同級生たちの、テスト明けのご褒美イベントとして選ばれたのだそうだ。
先日、がんちゃんは私に、そのイベントに一緒に出ないかとお誘いをしてくれた。
その裏には、運転手をお願いしたいという思惑があったようだ。
そんな企みが透けて見えるがんちゃんのおねだりのかわいさたるや、ローリングパンダにさえ匹敵する。
無論、企みの内訳も承知した上でふたつ返事でOKした私は、がんちゃんと同級生が待ち合わせをしている駅に、車を向かわせているのだった。
私が行くということで、ひいもほづみを誘ってくれた。
アテンド役としてキョウさんも行ってくれることになった。
車輌係として、ハイエースを持つバテリア仲間のテッチャンにもキョウさんは声をかけてくれたようだが、あいにく都合がつかず、半分チーム共用の車輌となっているハイエースを貸し出してくれることになった。ハイエースはキョウさんが運転する。
がんちゃん、私、キョウさんはスルドなので、小太鼓に当たるカイシャ奏者のテッチャンも参加できたら音に厚みが出たのだが。不参加となったテッチャン自身も悔しそうにしていたそうだ。
待ち合わせ場所で合流したら、がんちゃんたち同級生五人と、チーム所有の楽器群はキョウさんが運転するハイエースに。
私とほづみ、私とがんちゃんのスルドは私が運転するノートに。
二台に分かれて現地に向かうことになっていた。
がんちゃんとのドライブにならなかったことは残念だが、がんちゃんには同級生同士の遠足のような楽しみを享受してもらいたい。
私は私で、ほづみと一緒の道行を、ほづみが用意してくれた厳選サンバプレイリストを流し、歌いながら車を走らせる予定だ。
熱い時間になる。
そんな気がしていた。