願子と母のやりとり (LINK:primeira desejo38)
がんこが取り組んでいるものの正体は、ある日あっさり明かされた。
隠しているとしたら迂闊に過ぎる有様なので、単純に私や母に言っていなかったというだけだろう。
隠すつもりはないけど、わざわざ言ってこない。思えばがんちゃんのスタイルそのままだ。
「めがみ? なあに、それ?」
玄関先で母ががんこに尋ねている声が聞こえた。
リビングでテレビを見ていた私は、音量をそっと下げた。漏れ聞こえる会話は全て逃してはならない。
母からの問いに端的な単語で返答しているがんこ。
ちょっと聞き取れない。どうせ室内には誰もいない。
私は扉まで近づき、少し扉を開け聞き耳を立てた。
母からの質問への回答内容で、がんこは楽器を習っていることが分かった。
どうも楽器は教えてくれている人がくれたらしい。中古とは言えいただきものだ。
母がその教室? に挨拶に行こうと言い出すのも、保護者の動きとしては正しいと思えた。
母が挨拶に行くと言いったあたりから、がんちゃんからの返答が無くなった。
言葉に詰まるがんちゃん。多分、母には来てほしくないのだろう。
黙ってしまった次女に対し、徐々にヒートアップしていく母。母は思い通り、想定通りに物事が運ばないとこうなるのだ。
これはきっと良くない方向に進みそうだ。私にとってはチャンスでもある。
「お母さん、大丈夫?」
このやり取りに参加できる糸口を見つけたわたしは、扉を開けた。
案の定、表情を強張らせている母が居た。
母の目線の先にはなにやら巨大な筒を抱えたがんちゃんが階段を上ろうとしている格好のまま、母に詰められていた。
待って、このがんちゃんの激レアシーン。
写真撮っちゃダメかな?




